フィンテックスタートアップであるKoyoは、クレジットファイル(信用情報の履歴)が「薄い」ために現在クレジットマーケットで相手にされていない人々に、オープンバンキングを利用してローンを提供している。同社は、490万ドル(約5億円)の資金調達を完了した。
デット(借入)とエクイティ(増資)の両方で調達した今回のラウンドは、Forward Partnersがリードし、Seedcampも参加した。ほかには、LendInvestの創設者およびCEOであるChristian Faes(クリスチャン・フェイス)氏、ComplyAdvantageの創業者およびCEOであるCharlie Delingpole(チャーリー・デリングポール)氏などの投資家が参加した。
Frontline VenturesにいたThomas Olszewski(トーマス・オルシュースキー)が2018年後半に設立し、今年後半にビジネスを立ち上げたKoyoは、クレジットの利用履歴がない人々が抱える問題を解決しようとしている。移民、クレジットカードを使ったことがない人、公共料金などを自分の名前で支払ったことがない人たちなどは借り入れができない。借り入れできたとしても、過剰な手数料や法外な金利を要求されることが多い。
オープンバンキングのデータを利用して、最新の取引履歴に基づいてリスクを適切に評価すれば、Koyoとしてはもっと競争力のある金融商品を提供できると考えているようだ。
「ある国に来たばかりだったり、クレジットの利用履歴が少ない場合、クレジットへのアクセスは難しくなる。その国に住んだ期間が1〜2年にすぎない個人が利用可能なローンは、年換算利率が1000%以上になるペイデイローン(給料を担保にした短期小口ローン)か50〜99%に抑えられるが保証人を要する少し長めのローンだ」とオルシュースキー氏は説明する。
クレジットファイルに情報がほとんど、あるいはまったくない場合に借り入れができないのは、大多数の貸し手が3大信用情報機関(Equifax、Experian、Transunion)の情報を使って判断しているからだ。
「人口の15〜20%が信用情報機関のデータに取り込まれていないと推定している。Koyoは、すべての顧客にオープンバンキングのため銀行口座をプラットフォームに接続するよう依頼する。信用情報機関のクレジットスコアだけでなく、銀行口座の取引履歴に基づき融資を判断する点が新しい。顧客に定期的な収入があり、収入に対し支出が合理的な範囲内なら、当社からの融資を受ける資格がある」とオルシュースキー氏は述べた。
オルシュースキー氏は、クレジットの利用履歴が少ないかまったくないために銀行融資が受けられない個人にローンを提供する競合他社として、Amigo Loans、118 Money、Sunnyなどを挙げた。Koyoは競合他社と比べて年換算利率ベースで通常50〜90%安くなると主張する。
「典型的な年換算利率は35%程度になると見込んでいる。通常の銀行借り入れが利用できる人にとっては高いかもしれないが、この市場セグメントでは本当にいい提案だと思う」と同氏は語った。その上、Koyoは延滞料、早期返済手数料、ローン組成手数料、その他利息以外のあらゆる種類の手数料を請求しないという。
筆者が聞いたところでは、Koyoは現在わずか6人の「小回りのきく」チームであり、そのうち4人が経営陣だ。オルシュースキー氏の他には、以前LendInvestでもCTOを務めたGuy Evans(ガイ・エバンス)氏、RatesetterのCROだったリスク責任者のKevin Allen(ケビン・アレン)氏、マーケティング責任者のPeter Kent(ピーター・ケント)氏が名を連ねる。
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(翻訳:Mizoguchi)