DARPA(国防高等研究計画局)は、どこでも、いつでも、何回も続けてロケットを発射したがっている。無理な注文だろうか? 同局の打上げチャレンジで資格を得たばかりのVector SpaceとVirgin Orbitと匿名のスタートアップの3社にとってはそうではない。彼らは敏捷性と機動性の高いロケット発射能力を極限まで追究する。
このチャレンジで各チームは、わずか数日前に通知された場所から積荷を軌道に打ち上げなくてはならない。打ち上げが終わると、第二の発射場所からまた数日後に発射するように言われる。成績に応じて優勝チームには最大1200万ドル、2位と3位にもそれぞれ最大1100万ドルと1000万ドルが与えられる。
「現在、軍事あるいは政府の打上げのほとんどは、数年前から計画された国家的イベントであり、大型の固定施設を必要としていた」とDARPAのプログラムマネジャーであるTodd Master氏がリリース文で言った。「われわれは、兵士に求められるスピードで宇宙に資源を送り込むために、よりリスクを容認する哲学とより速いペースに移行したいと考えている」。
コロラドスプリングスで行われた第35回Space Symposiumの講演で、Masterは昨年の今頃発表したこの競争に上記3社が参加することを発表した。いずれの会社もこれまで軌道に打上げた経験がないことは興味深い。
Vector Spaceは同社のロケットVector-Rを初めて軌道に打ち上げるために、最近7000万ドルを調達し、ツーソンの工場で製造を開始した。目標は、週単位頻度の短い間隔で小規模打上げを行うことだ。
Virgin Orbit(正確にはVOX Space)は、2段ロケットを発射する747ベースの第一ステージを使用する。過去に少量の積載物でうまくいった飛行機を補助的に利用する打上げ方法だ。ロケットと積荷の移動しやすさは、飛行機による第一ステージ方式の特徴なので、今回のチャレンジに特に合っているかもしれない。
3番目の会社は現在まだステルスモードで活動しているため、匿名を希望している。当初私は、密かに打上げ技術を開発している実在の打上げスタートアップで、現在ステルスモードにあるStelth社のことかと思った。しかし、数知れない密かに打上げ技術に取り組んでいる会社の一つであることも十分考えられる。
各社は参加資格を得たことで40万ドルを受け取り、合法性(FAA認可などが必要)が確認される。打上げは2020年中に行われる。最初の積荷を軌道に載せた各社には賞金200万ドルが与えられ、二番目の作業を完了すると1000万ドル、900万ドル、800万ドルがそれぞれ与えられる。判定はさまざまな基準に基づいて行われる。
全部合わせると3400万ドル(約37.7億円)ほどになる。もちろん、DARPAの要求を満たすためにはそれ以上の費用がかかると思われる。しかし、この手の競技会はそういうものだ。
DARPAが詳細を発表するまでこれ以上はわからない。当然打上げ日程は発表されるまで知ることはできないが、それまでにはしばらくかかる(各社が発射装置を完成させなくてはならない)ので、しばらくリラックスしていてよい。読者が参加チームのいずれかで働いているなら話は別で、その場合はせっせと働き始めなくてはならない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )