MagForceは、酸化鉄のナノ粒子を患者に注入し、それらを磁界で振動させて熱を発生させ、がん細胞を殺す。まるでSFみたいだが、本当の話だ。 そこでPeter Thiel〔PayPal創業者〕の、成熟期企業のための投資会社Mithril Capitalは、MagForceの、同社が6500万ドルと評価したアメリカの子会社への、1500万ドルの投資をリードした。1997年に創業されたMagForceは、すでにフランクフルトの証券取引所に時価総額1億4400万ドルで上場されている。今回新たに得られた資金は、このナノメディシン企業によるがんの治療対象種の拡大と、その治療法の合衆国における認可取得過程への対応に充てられる。MagForceのNanoTherm療法がアメリカで青信号になれば、同社は合衆国でIPOする運びになる、とCEO Ben Lippsは語っている。
下のビデオは、NanoThermの治療過程を示している:
今現在、NanoTherm療法は、膠芽腫脳腫瘍の治療法としてヨーロッパでのみ認められている。MagForceが発明した特殊なコーティングが酸化鉄のナノ粒子を包むため、腫瘍に注入したときにそれらが人体内に拡散することは防がれる。患者は、NanoActivatorと呼ばれる、MRI装置に似た装置に収容される(下図)。この装置が磁界を生成し、その極性を毎秒10万回反転する。
ナノ粒子は、磁気エネルギーをがん細胞内の熱に変換するトランスデューサーとして働き、細胞に対する殺傷性を…磁気よりは…高める。Lippsによると、放射線治療とNanoThermを併用すると殺傷力が倍増し、抗癌剤の服用量、ひいてはその副作用を半減できる。
Mithril Capital Managementらの投資グループは、今回の1500万ドルの投資により、MagForceの米子会社の23%を保有することになる。またそれには、4年以内にさらに1500万ドルの株式を買えるオプションが付く。MagForceはこの資金により、NanoThermの前立腺がん治療への応用を研究開発し、またそれは、合衆国での認可が得られるまでの数年間、会社を維持するための資金にもなる。
MagForceがMithrilを選んだことについてLippsは、“審査が厳しいことで知られている合衆国の投資家に関心があった。そういうところなら、信用できるからね”、と語った。 Thielが投資先を決める際に徹底的に調査を行うことは、ヨーロッパでも知れ渡っているのだ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))