オンライン学習プラットフォームのUdemyが日本に来る―3200万ドルを調達して国際展開へ

オンライン学習プラットフォームのパイオニアの一つ、UdemyがシリーズCラウンドで3200万ドルの資金を調達した。このラウンドをリードしたのはNorwest Venture Partnersで、既存の投資家、Insight Venture PartnersMHS Capitalも参加している。これで調達した資金の総額は4800万ドルとなる。

EdXCourseraなどが提供する大学の講義をオンライン化したようなEliademyに似ている。

Udemyのコースの内容はアカデミックな知識の伝達というより、職を得やすくする技能、技術の講習に集中している。またUdemyは企業内研修のプラットフォームとしての利用にも力を入れている。

CEO Dennis Yangによれば、今回の大型資金調達は、コンテンツの強化と同時にアメリカ以外の地域への国際展開にあてられるという。

「われわれはオンラインではすでに世界のあらゆる地域にユーザーがいるし、英語以外の10カ国語に対応している。今回の資金調達は実際に現地で活動を開始するためのものだ。われわれは現在アメリカで行っているのと同様のビジネスを世界各地に拡張していきたい」とYangは語った。

われわれのインタビューに対してYangは現在すでに受講者の60%はアメリカ以外から来ていると明かした。この1年でUdemyの売上は300%以上成長したが、これにも国際的な需要の高まりが貢献しているという。

2010年のスタート以来、Udemyの受講者は延べ300万人、講師は8000以上になるという。現在までに作成されたコースの数は1万6000に上る。

Udemyのユーザーの多くは無料コースを受講しているが、Yangによれば無料ユーザーの15%がやがて有料コースを受講するようになるという。有料コースの場合、講師が受講者を独自に集めた場合、Udemyは料金の3%を手数料として得る。ただしUdemyの既存のユーザーが受講した場合、料金は講師とUdemyが50:50で折半する。

Yangによれば、今回の資金調達で実施する国際展開のターゲットとなる地域は、イギリス、ドイツ、スペイン、ブラジル、日本だという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


積み木のようなブロック(キューブ)を並べて中国語を覚えるChineseCubes

外国語を勉強するためのアプリやサービスはたくさんある。でも拡張現実(augmented reality, AR)と、サイコロのような小さなブロックと、Webカメラを使って中国語を教えてくれる学習セットは、とても珍しい。それが、これからご紹介するChineseCubesだ。

ChineseCubesは、台湾の大手出版社Locus PublishingのCEO Rex Howのアイデアから生まれた。この149ドルのキットには40のキューブと、ほかに“コマンドキューブ”が含まれている。使い方は、まずコマンドキューブをカメラの前に置き、いくつかの言語キューブを並べる。するとシステムが、正しい中国語の世界が作られたかをチェックする。中国語の学習はキューブとドリルと対話的なソフトウェアを使って行い、言葉や文の組み立て方を学んでいく。

このシステムは、言葉のいちばん基礎的初歩的な部品を組み立てて文を作る(上図)ことにより、中国語の書く、聞く、話すを教える。このやり方で学習者は4か月で2500のフレーズを覚える、とされている。新聞を読むには十分な語数だ。またARシステムを使って、中国語で書かれた児童書を読み、フレーズやビジネス用語を速習することもできる。WindowsとOS X対応だが、iOS用のアドオンもいろいろあり、Androidバージョンももうすぐ提供される。

ぼくも試してみたが、けっこうよくできているし、確かに学習効果はある。デスクの上にキューブを置いといて、毎日いくつかを並べてみる。それが、短時間のレッスンになる。印刷された文字やコンピュータの画面を見るのと違って、学びながら自分の手でキューブを持つ、動かすという“触感”があるので、楽しいし、高価な外国語学習コースより優れているかもしれない。とくに、手の動き、体の動きを伴うところは、子どもに適していると思う。まるでLegoで遊びながら中国語を覚える、という感覚だ。中国語を遊びながら覚えるのが、すごい。

このキューブ方式は、外国語学習のベストの方法だろうか? キューブそのものに、ちょっとこじつけ感があるから、もっと自然にのめりこめるような、没入的な方法がほかにあるかもしれない。でも、自分の経験から言っても、遊びは学習を持続させるための最良の方法であり、このキットは少なくとも、その最良の方法の一つを提供しているとは言える。退屈なものになりがちな言葉の勉強を、学ぶ側と教える側の両方にとって楽しめるツールに変えたことは、なかなか頭が良いね。

〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleがedXと組んでMOOCを展開か?: 一般大衆向け初等統計学コースをまず無料で提供

Googleが、調査や研究などの結果を表す統計データの理解の仕方を一般大衆に教えるMOOCを開始する。“Making Sense of Data”(データを理解する)と題されたそのコースは3月18日から4月4日まで行われ、MOOCの定石として一連のビデオ講義と対話プロジェクトから成り、またコミュニティのティーチングアシスタントを支援する。

コースを最後まで完全に履修し、宿題も全部やった人は、ご希望なら終了証書をもらえる。下のYouTubeビデオ(未公開)に、簡単な説明がある:

最近ホワイトハウスは、データサイエンスが分かる職員がもっと欲しいと言っており、その要望に応える有料のオンライン教育サービスがこのところ増えている。GoogleのMOOCは無料だが、内容的には彼らの仲間入りをすることになる。MOOCの二大大手、CourseraUdacityには、終了証書が有料のデータサイエンスコースがある。

Googleによると、このコースは同社のデータ視覚化ツールFusion Tablesと関連している。これは、データを噛み砕いて消化してグラフやチャートやマップなどで表示してくれるサービスだ。ただし対象は勉強好きのデベロッパではなく、あくまでも一般大衆。

Googleの目的は、現在の一般教育では一般大衆レベルにデータを正しく理解する能力が身につかないのでそのギャップを填めること、そしてついでに同社のプロダクトを宣伝することだ。同社のブログは曰く、“Making Sense of Dataは、学生や教師、ジャーナリスト、企業の管理職や経営者など、日々の仕事でデータを扱っている人たちに、データを有効に利用する能力を一層高めていただくことを目的とする”。

このコースの開設にあたってGoogleは、MIT/Harvard*のMOOCプロジェクトedXの協力を得ている。というか両者のパートナーシップは、誰でも自分のコースを開設できるようにする、という壮大なプロジェクトが本来の目的で、今回のMOOCはそのささやかな一端にすぎない。〔*: MIT/Harvard, マサチュセッツ工科大学とハーバード大学。〕

今、初等レベルの統計学の即席コースを求めている先生たちや企業人はとても多いから、この二週間のコースは今後、各地の高校などで頻繁の再利用され、Googleのベストプロダクトの一つになってしまうだろう。つまりこれはGoogleの顧客サービスではなく、れっきとした製品開発なのだ。

ぼくも最近、Courseraの統計学MOOCを数か月受講してみたが、そのクォリティは、ぼくが昔カリフォルニア大学で取った大学院コースと比べてもひけをとらない。合衆国のMOOCはすでに累積受講者が10万名を超えており、Googleのような企業が今回のようにマーケティングのふりをして(実は)製品開発に取り組んでもおかしくない、将来性に富む商材なのだ。

4月になったら、このコースのレビューを書いてみよう。いずれにしても、オンラインの学校というビジネスは、今後の高等教育と成人学習市場を強力にディスラプトしていくだろう。ただし、Googleなどが企業としてそれをやる際には、自社の企業利益と、大衆教育という社会的目標とのあいだの、細心の均衡が必要だ。

毎日大量のデータ処理でメシを食っている大企業が、データ理解のための公開コースを無料で提供するのはとってもクールだが、その内装ならぬ外装が持つ企業色には気をつけよう。

画像: theshirtdudes

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))