Y Combinatorの今回のクラスは、中途半端に終わってしまった。アクセラレーターのバーチャルデモデーの真っ最中に、新型コロナウイルスの影響が世界中に及んだからだ。クラスに参加していたスタートアップはパンデミックの時期に船出することになるとは予想していなかったと思われるが、この新しい環境で他社よりも成功に一歩近い会社もあるようだ。
参考記事
・新型コロナ対策でY Combinatorもデモデーをオンライン化
・Y Combinatorがデモデーを3月16日に1週間前倒し、ビデオプレゼンはなしに
ここ数週間、筆者はこのクラスに参加していたあるスタートアップのツールを試用していた。Motionという無料のChromeプラグインで、仕事のプラスにならないと思われるサイトを見ないようにするためのものだ。最初は便利なツールだなという程度だった。しかし在宅で延々、常に、永遠に仕事をする生活になってからは、仕事でブラウズするサイトと夕方6時以降に暇つぶしに見るサイトを分けるありがたいツールになった。
訪れたくないウェブサイトをブロックするプラグインは、革命的ではない。そのようなプラグインは、すでにたくさんある。しかし、どのソフトウェアでもそうだが、ユーザーエクスペリエンスの進歩が大きな差になることがある。Motionを差別化しているのはプロダクトの根底にある行動科学で、ブラックリストとホワイトリストに重きをおくのではなく、OSレベルのスクリーンタイムアプリのようなアイデアをさらに推進しようとしている。
Motionをインストールした後、就業時間を設定し、仕事の役に立つサイトと邪魔になるサイトを指定する。例えば筆者は、仕事中はReddit、Facebook、YouTubeを見ないようにしたいと考えた。すると、避けたいサイトのURLを入力したときに、プラグインによってページ全体にアラートが表示され、そのサイトのブラウズをやめたり一時的に制限を解除したりすることができる。
1分間だけ見る必要があるというボタンを押すと、画面にカウントダウンのタイマーが表示され、FacebookやRedditの「必要」なことだけを見るようにと仕向けられる。1分間が過ぎたら、息抜きを延長するか、タブを閉じて仕事に戻るかを選択できる。このユーザーエクスペリエンスは、例外を認めつつ避けたいサイトを見る時間を短くするようにユーザーに働きかけている。これは、例外を認めない厳しい方法とは大きな違いだ。
Motionの優れた機能のひとつは、その日に初めてブラウザを開いたときにブラウズの習慣に関する分析が表示されることだ。この画面には前日にそれぞれのサイトを見ていた時間が示されるので、このツールによって特定のサイトを見る時間を減らせたかどうかを確認し、ブロックした方がいいURLがほかにないかをつきとめることができる。
プロダクトとしてのMotionは進化の初期段階にあり、筆者が使っている数週間でも多くの改善が見られた。筆者が最も関心を持っているのは、創業者チームがこのプロダクトをどのようにしてビジネスとして成功させるかということだ。サービスモデルとしての無料のChromeプラグインはまだ確立されていないが、創業者チームはコアプロダクトをもう少し充実させたら、その後は有料での利用やエンタープライズ向けプロダクトを構築していきたいと目標を立てている。
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(翻訳:Kaori Koyama)