シンガポール政府の支援を受け、海運業界の技術革新を支援する新しいファンドが発足した。Motion Ventures(モーション・ベンチャーズ)と呼ばれるこのファンドは、3000万SGD(約24億円)を目標としており、世界最大級の海事ネットワークを持つWilhelmsen(ウィルヘルムセン)と物流会社のHHLAがアンカー投資家として参加し、最初のクロージングを完了した。
Motion Venturesは、アクセラレータープログラム「Startupbootcamp」を運営するベンチャー構築・投資会社のRainmaking(レインメイキング)が起ち上げたもので、政府機関Enterprise Singapore(シンガポール企業庁)の投資部門であるSEEDS Capital(シーズ・キャピタル)と共同でスタートアップに投資する。
SEEDS Capitalは2020年6月、海運系スタートアップに5000万SGD(約40億円)を投資する計画を発表した。その目標は、より弾力性のあるサプライチェーンを構築し、新型コロナウイルス感染流行で強調された問題を修正することだ。
Motion Venturesのジェネラルパートナーで、RainmakingのディレクターでもあるShaun Hon(ショウン・ホン)氏がTechCrunchに語った話によると、同ファンドはAI、機械学習、自動化に注力している20社程度のアーリーステージのスタートアップに投資する計画で、投資額の規模は50万SGD(約4000万円)から200万SGD(約1億6000万円)の間であるとのこと。
「脱炭素化、サプライチェーンの回復力、安全性の向上など、我々は海事バリューチェーンにおける最大の課題のいくつかに目を向けています。ほとんどの場合、この業界の課題に対応する技術はすでに存在していますが、それらのソリューションを企業にどのように適用するかという工夫が欠けているのです」と、ホン氏はいう。
「Motion Venturesが目指しているのは、そこの対処です。業界で選出された者からなるコンソーシアムを結成し、プロセスの早い段階で起業家とつながることができれば、誰もが成功する可能性を最大限に高めることができます」。
Motion Venturesは、出資するだけでなく、Wilhelmsenのような老舗の海運会社と引き合わせ、スタートアップ企業の事業化とその技術をサプライチェーンに統合するための支援を行う計画だ。また、Motion Venturesのスタートアップは、Ocean Ventures Alliance(オーシャン・ベンチャーズ・アライアンス)からメンタリングを受けることもできる。Rainmakingが2020年11月に起ち上げたこのアライアンスには、現在40社以上の海事バリューチェーン業界のリーダーが参加している。
カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Motion Ventures、シンガポール、ベンチャーファンド、海運業、物流
画像クレジット:Rainmaking
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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)