スマートフォンのユーザは、マルチタッチが好きだ、ということをよく分かっているFuffrが、もっとたくさんマルチタッチできるために、スマートフォン本体以外の場所でもマルチタッチできる方法を考えついた。
なぜそんなことを? 一台の小さなデバイスでマルチプレーヤーゲームをするときなんかは、ジェスチャのためのスペースが広い方が便利だからだ。そこでとりあえず作ったのが、モバイル上でソーシャルゲームをするときのための工夫だ。それは、ソーシャルなモバイルゲームではない…それはまた、別の話。間違えないように。
マルチタッチのためのスペースが増える、というマジックは、では一体どんなのか? Fuffrが作ったのはスマートフォン用のケースで、周囲に赤外線を発し、したがってスマートフォン本体の四囲がジェスチャによる対話をサポートできる。タッチスクリーンと同じように、ピンチしてズームとか、回転など。
Fuffrによれば、このスペース拡張によってマルチタッチデバイスでマルチプレイヤーゲームを楽しめるようになる。複数の人間の複数の指が小さなスクリーンを奪い合わなくても、実質的にスクリーンを共有できるからだ。
またマルチプレイヤーゲーム以外でも、たとえば耐熱手袋をして料理をしているときに、スマホのスクリーンをタッチできる。でも何と言っても最大の売りはゲームだから、同社は当面、もっぱらゲームへの利用をマーケットに訴求するつもりだ。
指によるジェスチャーの実現
もちろん、ジェスチャーを利用するインタフェイスは過去にもいろいろあった。モバイルにすら、あった。2009年のSony Ericssonは、モーションセンサを搭載したハンドセットだった(売れなかったけど)。
リビングルームのゲーム専用機ならMicrosoftのKinectがある。もっと最近ではLeap Motionがジェスチャインタフェイスの応用範囲をぐっと広げて、PCでもジェスチャを使えるようにした。また超音波によるモバイル上のジェスチャのサポートは、Qualcommなどが研究開発している。だからジェスチャは、すでににぎやかな開発分野だ。
ただしまだ、ジェスチャインタフェイスの大ヒット作、と呼べるものはない。まだまだ、マルチタッチといえば、容量性(コンデンサ方式)のタッチスクリーンが天下を握っている。
でもFuffrは、スマートフォンのケースを利用したジェスチャ技術に賭けている。同社の最初の製品はiPhone用だが、なにしろ既存のデバイスをそのまま利用してマルチタッチを拡張できることがアドバンテージだ。
問題は、デベロッパたちがFuffrの赤外線ケースに関心を持ってくれるか、だ。あなたがいくら、定価59ドルのスマートフォンケースを買ってもよい、と思っていても、デベロッパが食いつかなければそれは無に等しい。
同社は、すでにSDKを200名のデベロッパに提供して、それ用のアプリを作ってもらっている、と言っている。来年4月の発売を目指して、Kickstarterで25万ドルという大金を集めようとしている。締め切りまであと17日しかないが、まだ1万ドルしか集まっていない。これでは、アプリの出揃いも危うい。
FuffrのファウンダStefan Östergårdeによると、“うちですでに、アプリを5つ作った”そうだ。“このケースのAPIを使ってゲームを作ってるデベロッパもいる。その数については、まだ何も言えないけど、製品のパフォーマンスとコンセプトは概して好評だ”、という。
“デベロッパに配布した最初のバージョンには、たくさんのフィードバックが寄せられているから、来春に出す消費者バージョンはずっと良くなる”、とも。
マルチタッチのスマートフォンケースを利用して、モバイル上でソーシャルゲームをしたい人が、どれぐらいいるか? それとも、これが売れるためには、Cards Against Humanity(日本語記事)の大拡張バージョンが必要かな。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))