家庭用3Dプリンタの多くが、いくつかの基本的なツールを使ってオブジェクトを作る。まずプリント物が置かれる台座と、プラスチックを押し出すエクストルーダーがある。モーターがプラスチックのフィラメントを引っ張り、それが加熱されたノズルを通ってゆっくり押し出され、層の上に層を重ねることによって、3Dプリントによるポケモンのそっくりさんが完成する。しかし3Dプリンタ専用のフィラメントは高価だが、その原料となるプラスチックペレットは安い。そこに目をつけたのが、
Sculptify Davidだ。
オハイオ州Columbusで生まれ育ったTodd LinthicumとSlade Simpsonが作ったこの3Dプリンタは、高価な専用フィラメントではなく安価なプラスチックペレットを使うことによって3Dプリントの費用を下げる。しかも、ペレットはいろんな種類のものが出回っているから、ナイロンのようなものから木材由来のプラスチックに至るまで、さまざまな素材を使える。
Simpsonは言う、“3Dプリンタをしばらく使ってみて、ものすごくいろんなことができる、とわかってきたが、でもプリンタも素材も異様に高すぎる。一部のプリンタは6桁もするし、わずか2キロの素材が数百ドルもする。Sculptifyの開発にあたって考えたのは、3Dプリントを誰もが便利に使える技術にすることと、多様な素材を使えること、そして素材の原価を下げることだ。なんでもかんでもPLAが合ってるわけではない。しかも、1キロ50ドルもするからね”。
プロジェクトの立ち上げは8月20日を予定しているが、Kickstarterの初期支援者には2745ドルで提供される。安くはないが、まあ家庭用3Dプリンタの範囲内だ。なお、ここでユーザ登録をしておくと、発売日が決まったら通知をくれる。
ペレットでなければならない理由を、Simpsonはこう説明する:
“ペレットにははっきりとしたアドバンテージがいくつもある。種類(==選択肢)が多い、高品質な素材が得られる、素材の原価も安い…これが最大のアドバンテージだ。世界中のすべてのプラスチック製品が、原料はペレットだ。だから、グレードも素材の種類も色も何百種類もある。しかもSculptify Davidにはフィラメント用のスプールがないから、スプールに合わせた素材の形状は、もはや必要ない。ペレットをプリンタに放り込むだけだ。
いろんな色のプラスチックを使えるだけでなく、複数の種類のプラスチックも使える。プリントベッドを加熱するとABSなどのケミカルなプラスチックを使えるし、スターチタイプのPLAやそのほかの合成樹脂も使える。どんな素材でも簡単に使えるなら、このプリンタはこれまでの3Dプリンタのすべてを、陳腐化してしまうだろう。それぐらい、強力な発明だ。
ファウンダたちは専攻が機械工学で、以前は大手自動車会社で働いていた。Davidの開発に要した時間は1年、すでに州内に量産施設を準備している。
“手っ取り早く小金(こがね)を儲けるのではなく、本格的なビジネスにしたい。二人とも、その気でいる。Kickstarterの支援者たちへの配布が終わったら、本格的な生産と発売に踏み切りたい”、とSimpsonは言っている。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))