ちょっと風変わりなeコマースサービスShoppableが、シリーズAで350万ドルを調達した。
ニューヨークを拠点とする同社は、自身が何かを売るというより、Webページやコンテンツのパブリッシャーと消費者を結びつけて、CEOのHeather Marie(上図)が言うところの“shoppable moments, 買える機会”〔仮訳: それを買える状態〕を作り出す。たとえばどこかで写真やビデオを見ていて、そこに映っていたものを、欲しい・買いたいと思ったら、Shoppableがそれを、実際に買うことを可能にしてくれる。
何かをクリックしたらそれを買える、という方式は、昔からあるアフィリエイトネットワークに似ている。その場合は、Webページ上のリンクが商業者のWebサイトへ読者を連れて行くので、そこで当の品物を買える。そして元のサイトのパブリッシャーは、売上のマージンをもらう。
しかしShoppableでは、読者がパブリッシャーのWebサイトを去らなくてもよい。そこに居るままで、複数のお店の品物を見て、買うものを決め、実際に買う、お金を払う、というところまで行ける。いわばそれは、あなたがどのWebサイトへ行こうと、あなたにくっついて同行するショッピングカートだ。
“支払いもパブリッシャーのWebサイトに居る状態で済ませられる”、とMarieは述べる。彼女によると、それは“とてもシームレスな(なめらかな)体験”をユーザーに提供するだけでなく、パブリッシャーがビジターのデータや買い物傾向を把握しやすい。“自分のサイトで何が売れるかが分かっていれば、どんな人たちが自分のサイトのユーザーベースなのかも分かるのよ。データからユーザーを理解するやり方としては、コロンブスの卵のような重要な変化だと思う”、と彼女は自負する。
Shoppableには、個人ユーザーのためのGoogle Chromeエクステンションがある。そのエクステンションが動いていれば、Webページ上で見た製品をShoppable経由で買うことができる。一方パブリッシャーはShoppableのウィジェットを自分のWebサイトにインストールして、どんな製品を売るかを決める。また、ShoppableのMagicサービスを利用すると、ショッピング機能を自動的に作ってくれる。
今回のシリーズAは、匿名の投資家がリーダーだ。Marieによると、すでに利益が出ているShoppableにとっては、いわゆる戦略的投資であり、同じ投資家がリードするもっと大きな資金調達を、数か月後に発表するそうだ。今回のラウンドに参加した投資家は、MI Ventures, Canary Ventures, On Grid Ventures, Thomas Varghese, Bodley Group, John D. Owen, Noopur Shukla, Andrew Boszhardt Jr., Sandeep Bhanoteなどなどだ。
資金の主な用途は、Shoppableを利用する商業者をもっと増やすこと。今およそ200店/社がShoppableの輪に加わっているが、それ以外に100店/社が現在、待機状態だ。
Shoppableは最初、ラグジュアリー商品が主体、という意味で、72Luxという名前だった。しかしその後、普遍的なチェックアウトプロダクトであることが分かる、現在の名前に変えた。