GOCCO.は8月10日、徳島大学 佐原理准教授の監修のもと、成層圏への往復便サービス「shuttleD」(シャトルド)の募集開始を発表した。地上からバルーンを使って上空3万mの成層圏へ小型モジュールをリリースして回収を行う。問い合わせ・依頼は公式サイトから行える。
shuttleDは「shuttleDモジュール」に検体を搭載。それを気象観測用バルーンに連結させて成層圏までフライトさせ、パラシュートで安全に海洋上へ着水したものを回収する。ヘリウム気球を使った成層圏へのリーチと実験モジュールの海洋上での回収を数多く成功させてきたチームがオペレーションを主導し、上空3万mという環境における様々な科学実験をより安価に実現する(ちなみに、エベレスト山頂は標高8848m)。
回収したshuttleDモジュールに付随する基本的なデータは、以下の通り。
- 検体モジュール映像データ: shuttleDモジュールの状態を複数側面より映像記録。基本的にはアクションカメラでの撮影となる。特殊オーダーとしてその他機材の取付けは応相談
- フライトログ/航路・高度・時間: GPSのトラッキング情報、高度、ヘリウム積載量などより、フライトを立体的にアーカイブ
- モジュール内温度・湿度・気圧ログ: shuttleDモジュール内での温度、湿度、気圧の変化状況を記録。特殊オーダーとして紫外線や宇宙線等の計測も応相談
huttleDモジュールは、特殊フィルム加工によって防水性を保ちながら室外との通気性確保を実現しており、検体シャーレ(直径90mm、高さ20mm)を最大10個搭載可能。
利用者はシャーレ1個分〜スペースを借りることができ、シャーレ内に自由に検体を配置して成層圏までフライトさせることが可能。
また海洋着水時は、外装フレームの浮力により本体を常に海面より上に露出する状態をキープできるようにしており、モジュールへの海水の浸水は全くないという。
shuttleDでは、成層圏までフライトさせる検体、また期待する実験結果について十分に把握しながら、フライトまでのスケジュールを立てると同時にshuttleDモジュールの準備を進行。そこからフライト候補日の天候、場所に関する精細なデータを常時収集して、地上~上空3万m~海洋着水までの成層圏往復フライトシミュレーションを綿密に行い、shuttleDモジュールの成層圏へのフライト日時を決定する。
フライトオペレーションについては、管轄航空事務所および海上保安庁の許可をはじめ各種法令の遵守のもと各種飛行許可を取得の上実施。バルーンをリリースする地上地点のチームと、成層圏まで到達し海洋着水したshuttleDモジュールを回収する海上地点の2チームに分かれて実行する(海上地点には漁船で移動)。
shuttleD進行プロジェクトの第1弾として、「新しい食」の開発を目指し、shuttleDモジュールを特殊グロッセリーラックとして成層圏へと運搬する「Stratospheric Food(成層圏食品開発) ~成層圏環境を生き抜いた酵母菌達 ~」などを展開しているという。成層圏から地上へ持ち帰った酵母菌から「宇宙パン」と「宇宙ビール」を開発している。
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