Aristは自宅でカフェの味を実現しようとするプロダクトだ。いろいろな種類のコーヒーを、完璧に淹れることを目指す。豆をひくところから始めて、コーヒーをすすめるタイミングまで考えてくれる。対応スマートフォンアプリケーションは好みのレシピを覚えておいてもくれる。お気に入りの味を見つけたら、その際の温度、シロップの量などを記憶しておいてくれるのだ。さらにはNFCステッカーを利用して、特定のカップにいつも同じコーヒーを注ぐこともできるようになっている。
このAristはKickstarterキャンペーン中だが、12万ドルのゴールに対し、既に26万ドルの資金を集めている。2015年8月の出荷開始予定となっている。調達資金はプロダクトの製造費用およびモバイルアプリケーションおよびクラウドプラットフォームの開発費、および各種ライセンス関係の登録費用に使われるそうだ。
Arist曰く、香港行政府からの支援も得ており、同行政府の支援するHong Kong Science and Technology Parkからの協力も得ていて、出荷については問題ないだろうとのこと。開発チームも香港で稼働しており、サプライヤーや製造担当との連絡もうまくいっているようだ。
お気づきのこととは思うが、プロダクト名のAristは「bARISTa」(バリスタ)の中心部分をとったものだ。すなわち「バリスタのハート(中心)を機械に持ち込む」という意味を込めているそうだ。利用者の好みの味を記憶し、さらに新しい味のサジェストすら行なってくれる。Aristの開発に関わるのはコーヒーが大好きな20名の人物だ。CEO兼プロジェクトリーダーを務めるのはBenson Chiuで、マイクロソフトでソフトウェアエンジニアを務めていた。さらに兄弟のNelson ChiuはCFO兼ビジネス開発リーダーを務めている。
他のメンバーはとみるとQグレーダー(Coffee Quality Instituteが定めた、コーヒー評価者としての資格)の資格を持つChris Yeungや、Aristの淹れるコーヒーをトータルで評価する「コーヒーコミュニティ・マネジャー」であり、かつバイオテック技術者のVincent Poonなどがいる。
Benson Chiuは「マイクロソフトで働いているときに、休憩室で飲むコーヒーのまずさに驚きました。その頃に、カフェで飲むコーヒーとの違いを知りたいと考え始めたのです。エスプレッソのいれかたなどを勉強してみたりもしました」と述べている。
「しばらくするうちに、コーヒーの魅力にすっかりとらわれてしまいました。さほど難しくもみえない抽出プロセスも実はとても複雑で、同じような味にすることの難しさを感じるようになりました。コーヒーメーカーの仕組みなども調べてみましたが、どうやら個人の力でどうにかなるようにも思えなかったのです。それでいろいろな人からの意見を聞けるように環境を整えました」。
Aristの開発にとりかかったのは2013年のことだった。どうやら満足いく結果を得られそうに感じ、Chiu兄弟はいっそのこと会社を立ち上げてしまおうと考えた。会社名はNbition Development Ltd.とした。
どうやらAristもなかなかのものであるようだが、この分野にはライバルもひしめいている。一番近いものはといえば、プログラマブルなコーヒーメーカーを提供しているMr. Coffeeということになるだろうか。あるいは、いつも安定した味を出すことができるという意味ではネスプレッソなども強力なライバルとなる。ただ、Benson Chiuによれば、Aristの強みはスマートフォンインタフェースの実装や、また自分好みの味を追求できる自由さにあるのだとしている。さらに、たいていのコーヒーマシーンはいれられるコーヒーの種類が限られていることが多い。そのような中、Aristはラテやカプチーノも扱えることを強みとしている。
「これまでは、品質をとるのか手軽さをとるのかというのは、トレードオフの関係にありました。両方を追い求めることは不可能であると考えられていたのです。
そんな中、Aristが二兎を追って見せます」とChiuは言っている。
Aristに興味をもった方は、ぜひともKickstarterキャンペーンページを見てみて欲しい。
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(翻訳:Maeda, H)