金融サービスの事業拡大を模索しているスタートアップは投資家から熱視線を浴び続けている。100%デジタルの銀行プラットフォームを運営し、支払いソリューションを企業に提供しているフィンテック企業Zeta(ゼータ)は今日、初の社外資金調達を行い、企業価値が3億ドル(約325億円)に達した、と発表した。
Sodexo BRS(Benefit & Rewards Services)が、Zetaの少数株を引き受けるためにZetaのシリーズCラウンドに出資した。Zetaの幹部は資金調達の規模は明らかにしなかったが、この件に詳しい情報筋によると調達額は6000万ドル以下とのことだ。
Zeta、またはCEOで創業者のバヴィン・ターアクヒア(Bhavin Turakhia)氏が外部から資金を調達したのは今回が初めてだ、とターアクヒア氏はTechCrunchとのインタビューで語った。
39才のターアクヒア氏はこれまでに多くのウェブ企業を共同設立し、2014年にはチームコラボと生産性のアプリ「Flock」を1億6000万ドルで売却した。Flockもまたこれまで外部からの資金調達は行なっていない。
Zetaはアジアと南米で事業を展開していて、この2地域には小売りや法人フィンテック商品の扱いを模索している企業や銀行など潜在的なクライアントを抱える。Zetaのフルスタックのクラウドネイティブ銀行プラットフォームは、クレジットやデビット、プリペイド商品の発行をサポートしている。企業向けソリューションでは、TnEカード、Pカード、経費管理、給与支払い、法人ギフトなどに対応している。
Zetaはすでにユーザー200万人超、Sodexoを含む3つの銀行・金融機関、Amazonを含む1万4000社超の法人クライアントを抱えている。インドの複数の銀行はZetaの法人ギフトサービスを活用している。
新たに調達した資金は同社の米国、英国、欧州、東南アジアでの事業拡大にあてられる、とターアクヒア氏とZetaのCTOで共同創業者のラムキ・ガディパティ(Ramki Gaddipati)氏はインタビューで語った。今後6カ月で事業拡大するためにZetaは多くのパートナーとすでに契約を結んでいる。
現在約450人を雇用しているZetaはまた、チームを拡大し、世界中により多くのオフィスを設ける計画だ。
「過去20年、銀行エコシステムにおいてはイノベーションがなかった」とターアクヒア氏は語る。「銀行業界をみると、旧態依然とした組織からのライセンス契約されたソフトウェアに独占されてきた。こうした企業の多くがいまだに世界中の銀行やノンバンクに支払いシステムの多くを提供している」。
企業の数が増えるにつれ、Zetaはいま、こうした事態をディスラプトする重要なときだと考えている。「これがZetaを興すことになった発端だ。銀行、そしてクレジットやデビット、プリペイドのプロダクトを発行し、顧客により多くの機能を提供したいと考えている銀行系の金融機関のために、面白いユースケースを可能にする新しくてイノベイティブなテクノロジーを構築する」と語った。
そうした機会を見出したことで、ターアクヒア氏は外部の資金を模索することになったという。「5〜7年以内にZetaをこれまでの20〜30倍大きな企業にしたい」と彼は話した。
加えてZetaは、グローバル展開するSodexoがZetaのプラットフォームに何かしら好影響を与えるとみている。
SodexoのBRS部門のCEO、アウレリアン・ソネット(Aurelien Sonet)氏は発表文の中で「Sodexoは2017年からZetaの戦略的パートナーだ。今回の出資でSodexoグループはZetaの包括的ソリューションの恩恵を受けることができ、我々の顧客にシームレスな支払い体験を提供できる。ZetaとSodexoはすでに、Zetaのプラットフォームをさまざまな地域にあるSodexoの子会社に展開すべく共に取り組んでいる」と述べている。
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(翻訳:Mizoguchi)