ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」運営のトラストバンクは8月27日、自治体の災害時におけるレジリエンス(災害復旧力)強化を包括的に支援する新サービス「トラストバンク レジリエンス パッケージ」の提供開始を発表した。
同サービスは、災害支援寄付(資金調達)に加えて、「減災・BCP(事業継続計画)」から「復興」までの水資源、緊急医療、エネルギーの3つのインフラ領域のレジリエンス(災害復旧力)強化を図る支援パッケージ。自治体が財源を確保しやすいように、有事のみならず平時にも活用でき、万一の際にそれぞれ有機的に即時対応できるとしている。
トラストバンクは、ミッションである「ICTを通じて、地域とシニアを元気にする」こと、ビジョンである「自立した持続可能な地域をつくる」ことを目指し、地域経済の活性化のためヒト・モノ・お金・情報の循環を促すことに注力。今回発表の「トラストバンク レジリエンス パッケージ」においても、この4資源を軸に被災自治体にサービスを提供する。
災害支援寄付(資金調達)では、ふるさと納税制度を活用した災害支援寄付「ふるさとチョイス 災害支援」を活用し、被災地の資金調達を支援。すでに全国1788の全自治体にプラットフォームを無償開放しており、2020年7月時点で過去約30件の災害で累計66億円超を被災地に届けているという。
水資源支援では、WOTAとの連携を通じて、災害時でも安全で清潔な水を簡単に扱えるWOTA BOXを提供。税別費用は、1台498万円。WOTAのAI水処理技術によって、一度使った水の98%以上が再利用できるようになる。
避難所での活用に加えて、排水ができない場所でも、温水シャワー・入浴・手洗いなどが可能になり、衛生環境の向上や被災者の精神的なケアにもつながるとしている。また平時では、自治体にとっても大きな投資となる水道敷設の設置が難しい地域でも利用可能。
緊急医療支援は、ふるさとチョイスにおけるクラウドファンディング型の仕組み「ガバメントクラウドファンディング」を通じて、トラストバンクと災害支援における連携実績がある空飛ぶ捜索医療団「ARROWS」とともに提供。
ARROWSは、災害発生時に被災地にいち早く駆け付け救助・救命活動を行うほか、医療・物資配布・避難所運営まで被災地が必要とする現地の医療支援を行う。平時においては、医師の高齢化や後継者不足で医療体制の維持が難しくなった地域への医師派遣や、離島過疎地の巡回診療なども行える。有事には無償支援。
エネルギー支援では、トラストバンクの地域エネルギー事業が独自に、災害時の独立運転が可能な「防災拠点向けの電力インフラ」を提供。同サービスでは、太陽光パネルと蓄電池(テスラ製Powerwall)を防災拠点に設置し、防災拠点において冷暖房だけでなく避難生活に必要な電力を賄える環境を展開する。
また平時には、設置した防災拠点で自家消費できるほか、余剰電力を地域へ売電できる仕組みを構築。エネルギー支援のサービス範囲は、防災拠点の重要な電力(冷暖房や照明など)の自立化から、施設全体の自立電源化まで対応可能。
さらに今後は、地域のレジリエンス強化につながるマイクログリッド事業においても、地域の要望に合わせて検討~運用までの支援が可能な体制を構築する。費用は、対象施設などによって変動するため個別見積もり。マイクログリッドは、送電線を通じて電力供給する従来型システムではなく、地域内に小規模分散型の発電施設や蓄電設備を設置することで、地域内で自立したエネルギーネットワークを構築する仕組み。
2012年4月設立のトラストバンクは、ふるさとチョイスを同年9月開設。同サイトは、2019年12月現在で約2億の月間PV数に到達。2020年7月現在で、契約自治体1570団体、お礼の品登録数28万点超を有する国内最大のふるさと納税総合サイトに成長。
2013年9月、ふるさと納税の制度を活用したプロジェクト型課題解決支援「ガバメントクラウドファンディング」をスタート。2014年9月には災害時にふるさと納税の寄付金を被災地に届ける「ふるさとチョイス災害支援」の仕組みを立ち上げ、全国の自治体に無償でプラットフォームを提供している。
2019年11月には、「LGWAN-ASP」を活用した自治体専用ビジネスチャットツール「LoGoチャット」を開始。2020年8月現在450超の自治体が導入しており、災害時における庁内や自治体間の情報連携など迅速な情報のやり取りが可能な環境を提供している。