「もう黙っていない法」で守秘義務合意があっても虐待や嫌がらせを告発可能に

元Pinterestの社員で、同社を人種的および性的差別で訴えたIfeoma Ozoma(イフェオマ・オゾマ)氏が、職場で差別や嫌がらせを経験している人たちに力をつける新しい法案の作成でカリフォルニア州上院議員Connie Leyva(コニー・レイバ)氏らに協力している。米国時間2月8日、議会に提出されたその「Silenced No More Act(SB 331)」(もう黙っていない法)は、あらゆるかたちの差別と嫌がらせが含まれる職場の状況で、守秘義務合意(Non-Disclosure Aagreements、NDA)の使用を妨げることを目的とする。

「いかなる雇用主も、労働者が人種や性的指向、宗教、年齢などの特性を理由とする何らかのかたちでの嫌がらせや差別の被害者であったことを理由に、彼または彼女を黙らせようとすることは、受け入れられない。SB 331は、発言を望む生存者が発言できるように勇気づけ、それにより加害者に説明責任を負わせ、できる限り虐待者が他の労働者に対するいじめや虐待行為を継続できなくすることが狙いだ」とレイバ氏は声明で述べている。

この法案は、同じくレイバ氏が起草し2019年に成立したたStand Together Against Non-Disclosures Actで享受している労働者が現在受けている保護を拡張するものだ。オゾマ氏と元の同僚であるAerica Shimizu Banks(エアリカ・シミズ・バンクス)氏は2020年、人種と性による差別を訴えた。彼女たちは最終的にPinterestとの和解に達したが、前記Stand法は彼女たちを、性的差別の告発に関して保護しているだけだった。今回の新法は、労働者を人種的差別の告発に関しても保護する。

人種差別と性差別の両方に関して、守秘義務合意に署名していても告発できるとするこの新法は、オゾマ氏によると「法律のギャンブル」だった。またオゾマ氏によると、Pinterestはオゾマ氏とバンクス氏の両方をNDAを理由に告訴できたはずだが、しかしそうすると会社が自分の悪行を認めることになっただろう。

「現行の法律では私たちは人種差別については発言しないことになっている。多くの企業が、それをあてにしている」とオゾマ氏はいう。

「だから今回の新法は重要であり、テクノロジー業界だけの問題ではない。性なら性だけという、分野を特定する法律では本当の進歩がない。複数の分野を横断するようなやり方でないと差別やハラスメントに対する真の効果がない。私たち全員が学んだのは、このことだ」と彼女は述べた。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:差別

原文へ

(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。