テクノロジーの分野は障がいのある人々にとって世界をより良く、よりアクセシブルな場所にする、イノベーションとコラボレーションのすばらしい事例で満ちている。
例えば補聴器によってかつては想像できなかったほどの音を多くの人々が知覚できるようになり、現在の次世代型補聴器はさらに臨場感があって効果が高くなっている。
手話を音声言語に翻訳する手袋を開発し、手話があまりできない人とリアルタイムで会話ができるようにしている科学者もいる。スマートフォンやビデオゲームといった日常的なテクノロジーもアクセシブルになり、テクノロジーのイノベーターたちにはもっと公平な社会をつくるためのインスピレーションと能力があることを証明している。
こうしたことはアクセシビリティを日々拡張する驚くべき技術革新のほんの一部だ。テクノロジーのアクセシビリティは、社会のつながり、職業の広がり、市民的関与に欠かせない。
だから私たちは歩みを止めることはできない。あらゆる人にとってのより良いテクノロジーを構築するために私たちができることを3つ紹介しよう。
コミュニティと関わりを持つ
プロダクトやサービスにはそれぞれ固有のアクセシビリティのソリューションが必要で、あるプロダクトを障がい者にとって使いやすくする方法を他のプロダクトに適用できるとは限らない。したがってテック企業はコミュニティと深く関わり、アクセシビリティの現在のペインポイントを見つけなくてはならない。
例えば障がい者にとって重要な課題であるウェブのアクセシビリティには、可能性のあるさまざまなソリューション、つまりテックイノベーターが評価し、選択し、実装しなくてはならないモデルがある。
コミュニティとの関わりは開発者に対して方向性を示すだけでなく、テックプラットフォームとそのユーザーとの間の結束を高め、プロダクトやサービスをコミュニティの人々に継続的に適応させていくことでアクセシビリティを最大化することができる。
また、コミュニティと関わって何が必要か、何が最も最適かを理解すれば、ウェブ開発者がいい加減な、あるいは無駄なソリューションを実装することを避けられる。
最も効果的な部分に集中し、ゴールを設定する
コミュニティとの関わりから得たインサイトをもとにして、最も効果を上げられる部分に集中しよう。最も切実なアクセシビリティの障壁を見きわめ、進捗の測定のために具体的なマイルストーンを決める。
デジタルアセットをもっとアクセシブルにしようとするテックイノベーターは、コンテンツクリエイターや開発者向けの内部的なゴールを設定し、既存の、あるいは開発中のデジタルコンテンツに戦略的な変更を加える必要があるかもしれない。
対象範囲や流れは企業によって異なるだろうが、最も効果を上げられる部分に集中し進捗を測定すればアクセシビリティのゴールを現実にすることにつながる。
リソースを惜しまない
アクセシビリティの向上は明らかにwin-winだ。より多くの人がデジタルプラットフォームやサービスに参加することにつながると同時に、テック企業にとってはユーザーの数やエンゲージメントのレベルが増す。
ただし前進するには投資が必要で、適切な計画がなければ全体としての成果は少なくなってしまうだろう。バックエンドのROIは極めて高いので、先行投資はユーザーベースに対するエンゲージ、コミット、強化のための頭金と考えよう。
デジタルのプロダクトは変化し進化するので、アクセシビリティの基準やベストプラクティスもそれに合わせていく必要がある。アクセシビリティの構築を一度限りのものと考え、長期的に継続可能な結果を提供できないようでは困る。そうではなく、常にコミュニティや利用者と関わっていこう。
テクノロジーは世界をもっと良くすることができる。それは、より多くの人がプラットフォームやサービスに参加できるようになったときに最も効果的に達成される。
編集部注:本記事の執筆者Ran Ronen(ラン・ロネン)氏は、Equally AIの創業者でCEO。
画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images
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(文:Ran Ronen、翻訳:Kaori Koyama)