2010年6月に大阪・堺市で創業したグラムスはファション系ECサイトを運営する会社としてスタートした。もともとファッション業界で働いていた創業者で代表取締役の三浦大助氏によれば、ネットでファッションアイテムを売るのは店舗などオフラインで売るのと違った難しさがあるという。
「単に納品された商品のビニールを剥がしてラックにかければ売れるというわけにはいきません。写真も撮らないといけません。何が難しかったというと、撮影後の写真の処理でした。そこで、より日々の運営を楽にするために、インフラとして開発を始めたのがZenFotomaticです」
商品を撮影してECサイトに画像を掲載するわけだが、このとき、商品を輪郭に沿って切り抜いたり、背景に映り込んでしまった余計なモノを除去するなどのレタッチ処理が必要になる。コントラストや明度、場合によっては色みなども調整するし、位置合わせなども行う。
こうしたレタッチ処理を人間がやると、手慣れたデザイナーでも1枚辺り5分程度かかるため、レタッチの単価は1枚100円程度になる。単純な切り抜き以上の複雑な処理を依頼すると数百円となることもあるという。ここを機械処理で一気にクラウドでやってしまおうというのがZenFotomaticだ。1枚辺り10〜25円で処理できるという。
以下の動画を見れば、だいたい何をやってくれるか分かると思う。
ぼくが気になったのは「レタッチ」といっても、単純に既存の画像処理ライブラリを使うなどしただけであれば、誰にでも実装できてしまうし、差別化できるのかというところだ。画像処理エンジンを開発しているエンジニアのホスフォード・ブレイン氏によれば、このエンジンは4年かけて社内向けとして開発してきたもので、他社がキャッチアップするのは容易ではないとのこと。実はZenFotomaticでは利用者が「この写真はレタッチに失敗している」と思えば、課金されないようになっている。この人間が判断したエラー情報のフィードバックは重要で、ブレイン氏はエラーが起こった原因の解明とアルゴリズムの改変を、過去4年間続けてきたそうだ。コンピューターサイエンスの画像処理研究の分野からアイデアを得て実装することもあるものの、実際の処理の多くは試行錯誤や自分たちで考えたアイデアによるのだという。
現在まだZenFotomaticは一般向けサービスとしてオープンしたばかりだが、プロモーションなしで国内1200アカウント、国外700アカウントと利用が広がっているという。今後の展開は? どの程度の市場性があるのだろうか? TechCrunch Japanでは、三浦氏とブレイン氏に話を聞いた。