「資本と人材の両面からスタートアップの成長速度を最大化」するというベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」は9月21日、既存投資先の成長加速支援を目的とした成長株ファンド「Growth Fund」(グロース・ファンド)の設立を発表した。リミテッドパートナーの約8割が国内外の機関投資家、そのうち57%が海外投資家という構成になっている。ファンドの規模は161億円。
2010年に1号ファンドを設立したインキュベイトファンドは、一貫してプレシードおよびシードステージといった創業初期への投資に特化してきたが、今回初めて、グロースステージの投資機会に特化したファンドを立ち上げた。出資者の内訳は、海外機関投資家が46.6%、国内機関投資家が34.2%、残りが事業会社・個人となっている。また、リミテッドパートナーには、北米の大学基金、アジアの代替アセットへのファンド・オブ・ファンズ、アジアの政府系ファンド、アジアのテック専業の投資銀行などが含まれている。
代表パートナー本間真彦氏によると、2021年上半期、これまで約30倍もの開きがあった北米と日本のベンチャーキャピタル投資額の差が、さらに拡大したという。だが、北米や中国に比べて未発達だった日本のグロースステージの投資機会も、国内外の機関投資家のグローステージへの投資の増加で徐々に拡大しているとのこと。そうした中でインキュベイトファンドは「既存の投資先企業の成長のレベルを一気に引き上げ、日本からより規模の大きい、上場後もグローバルに展開できるような、スケールの大きいスタートアップの育成」にさらに注力すると、本間氏は話している。