ウォーレン上院議員が大統領選挙用ツールをオープンソース化

民主党のElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員は、2020年大統領選挙からは離脱したが、その選挙戦を支えた技術は今後も生き続ける。

ウォーレン上院議員の選挙スタッフは、民主党の大統領候補指名を勝ち取るために開発したアプリやデジタルツールを一般公開すると発表した。

「今回の取り組みで、私たちはオープンソース技術から非常に多くのことを学びました。そして、オープンソース・コミュニティーへの恩返しをしたいと考えました。エリザベス・ウォーレンの選挙戦でもっとも重要な役割を果たしたプロジェクトをオープンソース化して、誰にでも使えるようにします」とWarren for President Tech Team(ウォーレンを大統領に技術チーム)は語った。

Mediumの記事の中で、最高技術戦略責任者であるMike Conlow(マイク・コンロウ)氏と最高技術責任者のNikki Sutton(ニッキー・サットン)氏率いるこのチームのメンバーは、彼らが公開する技術のプレビューを行い、その理由を説明している。

「私たちの望みは、他の民主党候補や進歩的な運動が、私たちが開発したアイデアやコードを利用して選挙戦を有利に進め、民主党に勝利をもたらすことです」と記事の中で述べられている。ウォーレン氏の技術チームは、GitHubを通じてオープンソースの世界に提供するツールのリストを公開している。

そのひとつに、ピアツーピアのメッセージアプリSpoke(スポーク)がある。もともとMoveOnが開発したもので、ウォーレン氏の選挙戦では、大量のメッセージを市販のアプリの数分の1のコストでさばくことができた。彼らは、スーパーチューズデーの1日だけでも、そのアプリを使い400万通のSMSメッセージを送信した。

Pollaris(ポラリス)は位置検索ツールだ。ウォーレン氏の公式選挙戦ウェブサイト上で直接使えて、支持者に正しい投票場所を知らせることができるよう、APIも作られている。

エリサベス・ウォーレン氏の大統領選挙戦で使われたアプリのひとつ、代議員の集計のために作られたCaucus(画像の無断転載禁止)

ウォーレン氏の技術チームは、予備選が行われる州でのボランティアの募集と組織化のためのアプリSwitchboard(スイッチボード)も、フロントエンドバックエンドの両方をオープンソース化する。また、代議員の集計と報告のためのツールであるCaucus(コーカス)もオープンソース化される。

選挙戦用のRedhook ツールは、リアルタイムでウェブフックのデータを取り込むもの。ダウンタイムは発生しなかった。「これをオープンソース化した目的は、選挙戦が遭遇する問題の中には、市販のツールを使わなくても解決できるものがある。ちょっとしたコードで効率化できるものがあることを示したかったからです」と技術チームは話している。

ウォーレン氏は予備選に勝てず、3月4日、2020年大統領選挙戦からの撤退を決めた。マサチューセッツ州選出上院議員であるウォーレン氏の公約は数多くあるが、その中に、Google、Facebook、Amazonなどの巨大ハイテク企業の分割も含まれていた。

しかし彼女の戦いは、これまで使ってきたツールをオープンソース・チャンネルを通じて公開するという形で継続される。

「この選挙戦で私たちがどのようにテクノロジーを活用してきたか、数週間以内にすべてをお話ししたいと思います」とチームは述べている。

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画像クレジット:Erin Kirkland/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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