アフリカと中東の通信企業と石油やガスの企業を狙う、新たなハッキンググループが登場したようだ。
産業セキュリティの専門企業Dragosは、同社が見つけたそのグループを「Hexane」(ヘキサン)と呼んでいるが、その活動についてはまだほとんど口をつぐんでいる。しかし米国時間8月1日の同社の発表によると、そのグループの活動は最近の数か月で活発化し、それはこのグループが初めて登場した1年前以後激化した同地域の緊張と時期が一致している。
HexaneはDragosが今追跡している9つのハッキンググループの中で最新だが、通信企業をターゲットにしていることが観察された。それは、石油やガス企業のネットワークにアクセスするための踏石としての攻撃と考えられるとDragosはコメントしている。
Dragosの上級索敵官であるCasey Brooks(ケーシー・ブルックス)氏は「通信企業をターゲットにすれば、下流の石油ガス精製企業や上流のプロダクションのオペレーションにセルネットワーク(携帯電話のネットワーク)からアクセスできるようになる可能性がある」と語る。
Dragosの話は具体的ではないが、このグループは被害者のネットワークを内部から侵犯するために利用できるサプライチェーンの中の「デバイスやファームウェアや通信ネットワーク」をターゲットにするという。
彼らDragosの研究者たちは、Hexaneがまだ発電所やエネルギーのサプライヤーなど重要なインフラストラクチャの運転の継続に必要な産業制御ネットワークを破壊するほどの攻撃能力を持っていないと「ほぼ確信している」が、しかし通信企業のネットワークに対する攻撃をそのためのテコのような前段として利用するかもしれないと考えている。Dragosの予想では、中東アフリカ地域の石油およびガス企業がターゲットになる機会が増えるそうだ。
Dragosの専門は社会のインフラストラクチャに対する脅威の発見や理解だが、Hexaneが最初に観察されたのは2018年の半ばだった。グループの動き方は、やはり産業制御システムを狙う他の同様のグループと同じだった。しかしサードパーティの企業を狙う脅威グループはHexaneだけではない。Dragosによると、同社が追跡している他のグループは、産業制御ネットワークが使っているハードウェアやソフトウェアのサプライヤーをターゲットにしている。
Hexaneの動きは、前に報じた、イランとの結びつきが疑われる脅威グループのOilRigと似ている。しかしこれまで観察した他のグループと比較すると、Hexaneのやり方やツールや狙う被害者が異なるので、他に類似例のない「ユニークな実体だ」という。
Dragosによると、一般的にハッキンググループにとって石油やガスは、「社会的に重要な工程や設備機器の破壊、または生命の喪失」を惹き起こすための格好のターゲットだそうだ。
関連記事:Why ICS security startup Dragos’ CEO puts a premium on people not profits(産業制御システムのセキュリティスタートアップDragosは利益よりも人命を重視、未訳)
[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)