オンデマンドのタクシーサービスHailoが東を向いている。ヨーロッパと北米の各都市で成功した同社が、今度はその、インターネットからタクシーを呼ぶアプリケーションを日本の東京に持ってこようとしている。そのために同社は日本法人を作り、日本の電話会社KDDIと、Union Square Ventures、Richard Bransonなどから資金を調達した。その資金調達計画については、AllThingsDが以前報じた。
ネットタクシー呼び出しサービスはこのところ増えているが、Hailoもその一つで、ユーザの位置情報から至近の車を見つけ、支払はアプリ内からモバイルの決済サービスを利用する。Hailoは2011年にロンドンで立ち上がり、徐々に対象都市を増やしてきた。
12月の同社の発表では、契約運転者は全世界で1万名、これまでの利用回数は100万を超えている。今はロンドン、ダブリン、ボストン、シカゴ、トロントなどで利用でき、今後はニューヨーク、バルセロナ、マドリッド、そして東京への進出を計画している。
東京進出は、日本法人まで作るという本格的なものだ。そしてさらに、日本の大手電話会社KDDIから資金を調達した。これによって、西欧のスタートアップのアジア太平洋市場への足がかりができた、とも言える。
KDDIは、お金だけでなく大都市東京のタクシー市場におけるHalioの流通面の面倒も見る。KDDIのモバイル顧客は3600万あまり、そのハンドセットの一部に、Hailoのアプリがプレインストールされることになる。タクシードライバーにもハンドセットが渡され、Halioとこのモバイルキャリアとのあいだには、いわば共生的な関係ができあがる。
東京はネットタクシー呼び出しサービスにとって処女市場だ。KDDI戦略推進部の担当部長、川端康夫氏によると、日本のタクシー市場は世界最大であり、総年商は2兆円にのぼる(約220億ドル)。タクシーを呼び出すアプリは、日本最大のタクシー会社である日本交通のものなど、わずかしかない。しかもそれらは、配車を依頼するだけで、今西欧世界のインターネットアプリケーションで一般的なユーザのGPS情報やモバイルによる決済などの利用はしていない。
Hailoは今、日本だけでなくニューヨークにも地歩を築こうと努力している。ニューヨーク市では今、タクシー業界の団体がHailo的なサービス(複数社)に対して訴訟を起こしている。訴訟の眼目は、タクシーメーターを装備して、それに基づいて料金決済をする車しか、それらのインターネットサービスへの加入を認めない、というものだ。
また、オンデマンドのモバイルアプリそのものも、今や各都市で競争が激化している。たとえばFlywheel(元Cabulous)やTaxi Magicはニューヨークなど合衆国の大都市への進出をねらっており、ブラックカーサービスでGPS利用とアプリ内決済を創始したUberは、タクシーやタクシー的車を利用する低価格市場をねらっている。また新世代のサービスである“タクシー相乗りサービス”(SideCarやLyftなど)は、生まれ故郷のサンフランシスコから他都市へのサービス拡大を考えている。