ギリシャがユーロを捨ててBitcoinに切り替えてはいけない理由

[筆者: Wences Casares]

編集者注記: Wences CasaresはXapoのファウンダでCEO。

ギリシャのユーロ離脱をめぐる議論の一部に、ギリシャはユーロをやめてBitcoinを採用したほうが良いという説がある。一見してBitcoinは良い対策にも思えるが、しかし、ユーロが問題であるときBitcoinに切り替えるのは、頭痛を脳に弾丸を撃ちこむことで治そうとするようなものだ。

ユーロの主な問題は、ギリシャが自由にそれをもっともっと印刷できないことだ。それができるのは、European Central Bankだけだ。でも、少なくとも、誰かにそれができる。ギリシャはECBを説得して自分たちのためにもっとユーロを印刷してくれ、と頼めるかもしれない。一方、ギリシャがBitcoinに切り替えたら、自分たちが発行する通貨の量をコントロールすることがまったくできない。発行量の増加を頼めるかもしれないECBや合衆国のFRBのような機関も、Bitcoinにはない。

Bitcoinは、その基本的な性質として、供給量が一定であり上限がある。今それは13,882,100bitcoinあって、2025年1月には20,343,750bitcoinになり、しかし供給量が21,000,000bitcoin以上になることはない。

今Bitcoinを保有している人は約1000万人いる。うまくいけば、20年後には10億から20億ぐらいの人びとが合計2100万bitcoinを保有し、そのときBitcoinの価格(貨幣価値)は相当大きくなっているだろう。経済学者はBitcoinを、“デフレ性通貨”と呼ぶ。

ギリシャ新内閣の財務大臣Yanis Varoufakisも、Bitcoinはデフレ性通貨なのでギリシャにとって良くない、と言っている。しかし彼はさらに、Bitcoinはデフレ性だから、欠陥のある通貨だ、とも言っている。でも、それはちょっと違う。Bitcoinは政府の通貨ではなくて、人びとのためのグローバルな通貨だ。人びとは一般的に、時間の経過とともに価値が上がっていく通貨、すなわちデフレ性通貨を好む。逆に、時間の経過とともに価値が下がっていく通貨、すなわちインフレ性通貨は好まれない。すべての国の通貨が、インフレ性通貨だ。

ギリシアに限らず、一国が自分たちのそれまでの通貨を捨ててBitcoinを採用するのは間違いだ。通貨政策は、それが賢明であれば、人びとのふところを豊かにし繁栄をもたらす。しかしあまりにも多くの通貨を政府が発行することは、通貨政策の濫用だ。

大量の通貨発行によってインフレが起こり、それらの国々の貧困層がなお一層困窮する。でも彼らは、ほかに方法もないので、どんどん減価していく自国の通貨にしがみつき、すべてを失う。

Bitcoinは、世界中の人びとに対策を与える。スマートフォンがあれば誰でも、どんどん減価していく通貨からの避難所としてBitcoinを持てる。そしてそれは、政府に対するメッセージになる: “政府の通貨じゃなく、自分たちの通貨を持とうよ。ただし、自分の意思で選んだ新しい通貨は、責任をもって管理しよう”。

Bitcoinが普及したとしても、それがどこかの国の通貨を代替することはない。ギリシャにかぎらず。Bitcoinは特定の国の通貨ではなく、人びとによる、人びとのための、インターネットのデジタル通貨だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


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TechCrunch Japan

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