クラウド会計ソフト「freee」から内部統制に対応した新プラン——上場準備企業の利用を推進

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クラウド会計ソフト「会計freee」を筆頭に給与計算ソフト会社設立サービス開業支援サービスなどのクラウドサービスを通じて、中小企業や個人事業主といったスモールジビネスをサポートしてきたfreee。2016年12月には33.5億円の資金調達を実施し、さらなるサービス拡充を目指していた。そんな同社は3月6日、上場企業や上場準備段階の企業などに向けた、内部統制に対応する会計freeeの新プラン「エンタープライズプラン」をリリースした。

これまで会計freeeでは創業期の企業向けに「ライトプラン」を、拡大期や安定期の中堅企業向けに「ビジネスプラン」(2016年5月に発表)を提供しており、今回のエンタープライズプランは上場準備期や上場企業をターゲットとした3つ目のプランとなる。

上場企業はもちろんのこと、上場後に投資家へ財務諸表を公開することになる上場準備中の企業は、会計上の不正やミスを発見、防止するための内部統制が必須だ。エンタープライズプランでは経済産業省が公表している「システム管理基準 追補版 (財務報告に係るIT統制ガイダンス)」に準ずる形で、内部統制に必要な新機能を追加するとともに、有償の専用サポートデスクを新たに設置する。

新機能で代表的なのは「操作履歴」「仕訳の承認履歴」「権限の変更履歴」といった会計freee上での操作ログを保持、確認できるもの。この機能により、事前に入力範囲やアクセス範囲を制限して入力ミスや不正を予防するとともに、ミスや不正の監視や追跡ができるようになる。新機能については「必要なものをカバーし監査法人のチェックも受けているので、上場準備中の企業や上場企業に安心して使ってもらえる」(freee)とのことだ。

なお利用料金は一律ではないため、個別で見積が必要になる。

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ビジネスプラン利用企業からの要望により誕生

冒頭でも触れたように、freeeでは2016年5月に中堅企業向けにビジネスプランをリリースしている。このプランは中堅企業の基幹システムを「クラウドERP」化することを目指し、財務会計にとどまらず管理会計の分野まで対応領域を広げたもの。従来の会計ソフトだけでは対応できず、紙やエクセルを併用していた受注から入金消し込みまでの作業を一気通貫でできるようになるなど、バックオフィスの最適化を進めるサービスだ。

同プランのリリース以降、上場企業や上場を見据えたスタートアップなど従業員数が100名を超える中堅規模の企業へも導入が進む中で、内部統制に対応したプランの要望が増えてきたという。「上場準備をするためにクラウド会計ソフトを諦め、泣く泣く内部統制に対応したインストール型に乗り換えた」というユーザーもいたそうで、freeeとしてもこのフェーズの企業でも安心して使えるプランを用意する必要性を感じ、今回新たなプランのリリースに至った。

freeeはエンタープライズプランを通じて「3年後に新規上場する企業のうち、約半数のシェア獲得」を目指していく。

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TechCrunch Japan

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