倫理と人工知能の分野における研究や発言で注目を集めているTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏は、彼女の直属の部下に送信したメールのためにGoogle(グーグル)から解雇されたと語っている。ゲブル氏によると、グーグルが彼女を解雇したのは、彼女が部下に送った電子メールが原因であり、それに「グーグルのマネージャーに期待されていることと矛盾する行動」が反映されていたと、同社がいっているという。
グーグルのAI倫理チームの共同リーダーだったゲブル氏は、米国時間の12月2日夜、次のようにTwitter(ツイッター)に投稿した。それは全米労働関係委員会がグーグルに対し、従業員の監視と従業員の違法な解雇を主張して告発状を提出した直後のことだった。
I was fired by @JeffDean for my email to Brain women and Allies. My corp account has been cutoff. So I've been immediately fired
— Timnit Gebru (@timnitGebru) December 3, 2020
グループの女性たちとメンバーに送ったメールが原因で、Jeff Dean(ジェフ・ディーン)に解雇されました。すでに私の会社のアカウントは無効になっています。即刻解雇されたということですね。
ゲブル氏によると、誰からもはっきりと解雇とはいわれていないが、上司から1通からメールが届いたそうだ。
「あなたの条件を明確にしてくださったことに感謝致します。あなたが求める1番と2番の条件に我々は同意できません。その結果としてグーグルを辞めるというあなたの決断を尊重し、あなたの辞職を受け入れます」。
そのメールは、ゲブル氏によると、「あなたが昨夜、AIグループの非管理職の従業員に送信したメールには、グーグルのマネージャーに期待されていることと矛盾する行動が反映されている部分があります」と続いていたという。
I said here are the conditions. If you can meet them great I’ll take my name off this paper, if not then I can work on a last date. Then she sent an email to my direct reports saying she has accepted my resignation. So that is google for you folks. You saw it happen right here.
— Timnit Gebru (@timnitGebru) December 3, 2020
Casey Newton(ケイシー・ニュートン)氏が入手した(Platfomer記事)問題の電子メールには、ゲブル氏が「散々話し合った後」彼女が組織のやり方にどれほど失望させられたかということが論じられている。2020年、同社が雇用した女性は14%ほどに過ぎないと彼女は書いている。グーグルのAIチーム内で研究者たちを率いるSamy Bengio(サミー・ベンジオ)氏は39%の女性を雇用したが、彼にその意欲はなかったという理由を、ゲブル氏は指摘している。
何がいいたいかというと、文書を書いても意味がないから止めろということです。どこから来たのかわからない(そして会うこともない)DEI OKR、行き当たりばったりの議論、「私たちの進歩を妨げる有害な環境を止める必要がある」よりも「私たちにはもっとメンターシップが必要だ」、自分を犠牲にした絶え間ない戦いと教育、それらは重要ではありません。なぜなら、説明責任がゼロだからです。39%の女性を雇う意欲はありません。あなたの人生は、あなたが少数派の人々のために擁護を始めたとき、そしてあなたに良い評価を与えたくないリーダーを動揺させ始めたときに悪化します。これ以上の文書や会話が何かを達成することはありません。私たちがしたことは、感情的に憤りを露わにして黒人の研究を全社的に行っただけです。それからどうなったか知っていますか?最も本質的かつ可能なやり方で黙らせようとしているのです。
ゲブル氏のメールには、主流から外れた声を黙らせることの問題、彼女の専門的意見がどのように退けられてきたか、そして彼女がどれほどグーグルからガスライト(心理的嫌がらせ)を浴びたと感じているかについても言及されている。
我々はゲブル氏とグーグルの両方にコメントを求めている。
Bloombergが報じたように、ゲブル氏はテック業界における多様性の欠如や、テック業界の黒人が直面している不公平について率直に語ってきた。Bloombergによると、グーグルが他の労働者に声を上げてはいけないという合図を送るためにゲブル氏を解雇したと彼女は考えているという。
ゲブル氏は倫理と人工知能の分野で第一線で活躍する発言者だ。2018年、ゲブル氏はAlgorithmic Justice League(アルゴリズムにおける偏見の是正などに取り組む団体)の創設者であるJoy Buolamwini(ジョイ・ブオラムウィーニ)氏と共同で、顔認識システムにおける偏重の研究を行った。彼女らは、肌の色が明るい男性と肌の色が濃い女性では誤認率に高い格差があることを発見し、これらのシステムは肌の色が濃い人にはうまく機能しないという結論に至った。
ゲブル氏の発表以来、彼女は技術コミュニティの人々から絶大な支持を受けている。
To be bold, to be honest, to know your worth, to speak up for others, to do the thankless work, to pioneer the way, to suffer no fools, to be all they could only wish to be, wrapped in black womanhood is an affront to those who would rather see us cower than own our power 1/n
— Joy Buolamwini (@jovialjoy) December 3, 2020
I thought this was a joke because it seemed ridiculous that anyone would fire @timnitGebru given her expertise, her skills, her influence. This is one of the many times when I think there is just no hope for the tech industry. https://t.co/2Px7nkObke
— Ellen K. Pao (@ekp) December 3, 2020
グーグルはこの件に対するコメントを拒否したが、ゲブル氏の上司であるジェフ・ディーン氏からの社内メール(Platfomer記事)を指摘。そのメールの中でディーン氏は次のように述べている。
尊敬される研究者として、またAI倫理チームのマネージャーとしてのティムニットの役割を考えると、私はティムニットが私たちの仕事についてこのように感じるようになってしまったことを残念に思います。また、今週あなた方の中の何百人もの人々がティムニットから、重要なDEIプログラムの仕事を止めろと書かれたメールを受け取ったことも残念に思います。止めないでください。進捗のペースにフラストレーションが溜まっているのは理解していますが、私たちにはこれからも重要な仕事がありそれらに取り組む必要があるのです。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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(翻訳:TechCrunch Japan)