米・シリコンバレーに本拠地を置き、2006年から10年以上にわたってアクセラレーター・投資家として活躍するPlug and Play。シリコンバレーのサニーベールにあるアクセラレーション施設の「Plug and Play Tech Center」には、米国内外から多くのスタートアップや、彼らを支援する大手企業(公式パートナー)が集まっている。現在では世界10カ国でアクセラレーションを実施。毎年約150社のスタートアップに出資しており、その中にはDropboxやPayPal、最近ではLendingClubといった名前が並ぶ。
そんなPlug and Playが日本法人のPlug and Play Japanを設立。国内での活動を本格化した。日本法人の代表には、米国のPlug and PlayにてIoTやモビリティ領域のアクセラレーションを担当していたPhillip Seiji Vincent(フィリップ・誠慈・ヴィンセント)氏が就任。また、Venture Partner/取締役に元サムライインキュベートの矢澤麻里子氏が、Program Manager/プログラムマネジャーとして元楽天の江原伸悟氏がそれぞれ就任する。
Plug and Play Japanでは、第1期となる日本でのアクセラレーションプログラムについても発表している。プログラムには公式パートナーとして、三菱UFJ銀行、東急不動産、電通、パナソニック、SOMPO Digital Lab、富士通、フジクラが参画。Fintech、IoT、InsurTech(保険領域)の3つのテーマを主軸にして、日米中心に約20〜25社のスタートアップを採択。メンタリングや事業ノウハウ、オフィス環境の提供、パートナーによる支援などを行う。募集期間は9月1日より9月15日まで。プログラムは11月8日より3カ月間を予定する。申し込みは同社のサイトから。またプログラム開始に先駆け、10月には東京・渋谷に東急不動産とともにコワーキングスペースを開設する。
この数年で「オープンイノベーション」という言葉を随分聞くようになったが、まだまだ言葉ばかりが先行している状況といっても過言ではない。スタートアップと大企業で実証実験をやったら、その後に本格的な提携もなくプロジェクトは終了なんてケースも耳にする。Plug and Play Japanのメンバーもそういった状況は認識しているとのことで、米国や海外でかれらが手がけて北大企業とスタートアップの連携を日本でも実現したいと考えているようだ。同社は渋谷に完成する新拠点を軸に、大企業とスタートアップ、日本と米国やその他のエリアを結ぶ「イノベーションのプラットフォームを作っていく」(ヴィンセント氏)としている。
またアクセラレーションプログラムやコワーキングスペースの運営に加えて、スタートアップへの投資も進める予定だ。「日本ではシードマネー(の出資を)受けやすくなってきたが、(全ての)スタートアップが育っているかというと、また違う。あくまで投資は手段。それに加えて大企業との連携やグローバルなメンターのアドバイスなどでスタートアップを支援していく」(矢澤氏)