スマートグラス(電脳眼鏡(めがね))の開発プラットホームSkylightを作っているAPX Labsが今日(米国時間11/18)、1300万ドルの資金調達を発表した。
このラウンドはNEAがリードし、CNF InvestmentsやGE Ventures、Salesforce Ventures、SineWave Venturesなどなどの投資家が参加した。同社の総資金は、これで2900万ドルになる。
CEOのBrian Ballardは、単純に資金調達に満足しているだけでなく、GE VenturesやSalesforce Venturesからの戦略的投資を喜んでいる。同社の技術と方向性がついに、産業界からも認められた、と感じられるからだ。
GEはすでに同社の顧客だが、今後1年かけて取り組もうとしているGEとの大きなプロジェクトが、Skylightプラットホームにとっても、重要な試金石になるだろう。
SkyLightはグラスのベンダを特定しない汎用のスマートグラスプラットホームで、今ではエンタプライズに焦点を合わせているGoogle Glassや、SonyのSmart EyeGlassesなど向けの開発も、このプラットホーム上でできる。
グラスの上で、Skylightで作ったソフトウェアが動くと、いろんな業界の現場従事者たちが上司等からの指示をグラスで受け取り、両手と目はそのまま仕事への集中を維持できる。
Salesforceは、スマートグラスをIoTのインタフェイスに使うつもりで、同社はすでにかなりIoTというトレンドに入れ込んでいる。当面Salesforceが考えているのは、客先の現場へ出向いて修理などを行うサービスマン/ウーマンによるスマートグラスの利用だ。
またGEのように、電気機関車やジェットエンジンなどの巨大な機械装置を作っている企業では、現場作業員がスマートグラスから情報を得ながら、両手はつねに仕事に集中できる。タブレットやラップトップでは、この重要な“両手が自由”が実現しない。
危険物処理の仕事などでは、なおさら、タブレットやラップトップやスマートフォンの使用は無理だ。スマートグラスなら、仕事の対象から目と手を逸(そ)らすことなく、必要な情報を得たり、伝えたりできる。
しかし、産業界によるスマートグラスの採用と利用は、まだ始まったばかりだとBallardは認識している。大規模で本格的な利用は、同社とGEが今進めている協働が端緒となるだろう。
現在の同社の顧客は数十社、うち6社はFortune 10企業だ。ただしBallardは、GE以外の名前を教えてくれない。とにかく、大企業による本格的な利用ないし試用が始まっていることは、事実のようだ。スマートグラスの安定的メジャー化も、そう遠くはないだろう。
彼曰く、“今のうちのターゲットは、この惑星上の最大の製造業企業(複数形)だ”。
また同社は、MicrosoftやAccenture、SAP、Deloitteなど、著名な大手エンタプライズ向けソフトウェア企業ともパートナーしているe。
ヴァージニア州Herndonに本社を置くAPX Labsにとって、同社のような業態はまだ夜明け前と言えるかもしれないが、Ballardは今回得られた資金でさらなる製品開発に注力し、市場の拡大と、対応機種の拡大を図りたい、と考えている。