ここ最近、企業が提供するチャットボットを見かけることが増えている。気軽にやりとりできるチャットはユーザーにとって便利だが、企業がゼロからチャットボットを開発するのは難しいだろう。ヘクトは、そうした企業向けにプログラミングなしでチャットボットを作成できるサービス「chatbook.ai」を提供している。本日、ヘクトはFacebookの提供する開発者向けプログラム「FbStart」に採択されたことを発表した。
FbStartとはFacebookが2014年の開発者カンファレンスF8で発表した、アプリ開発者の支援プログラムだ。アプリをリリースしたばかりのスタートアップを支援するBootstrapコースと、すでにリリースしたアプリが軌道に乗り、さらなるスケールを目指す企業を対象とするAccelerateコースの2つがある。FbStartの参加企業はFacebookのみならず、Adobe、AWS、Dropboxといったパートナー企業のツールを利用できる特典がある。他にも、FbStartのオンラインコミュニティーやイベントへの参加やFacebookのプロダクトマネージャーやエンジニアらからサポートやメンタリングを受けられる。今回、ヘクトはAccelerateコースに採択された。
ヘクトが提供するchatbook.aiについて説明すると、ユーザーに情報を提供したり、アンケートを取ったりするチャットボットをプログラミングなしで作成できるサービスだ。ユーザーとのやりとりを分析するアナリティクス機能などもある。
chatbook.aiは、「ユーザーとの接点が持てないという企業の課題を解決します」とヘクトの代表取締役を務める小島舞子氏は説明する。例えば、新しいサービスやプロダクトのためにランディングページを作成する企業も多いだろうが、ランディングページだけではプロダクトに興味を持っている人が誰か分からないし、企業からメッセージを送ることはできない。アプリでユーザーと接点を持とうにも、そもそもユーザーにアプリをダウンロードしてもらうのは難しい。チャットボットであればユーザーの負担も軽く、接点を持ちやすい。企業側も新しいサービスやプロダクトがローンチ時に通知したり、アンケート調査に活用したり、継続的に接点を持つことができると小島氏は言う。
ヘクトは2016年9月に設立し、YJキャピタルとEast Venturesが運営するアクセラレータープログラム「コードリパブリック」の卒業企業だ。このプログラムに参加時に、YJキャピタルおよびイーストベンチャーズから7万米ドル(およそ760万円)の出資を受けている。
また、ヘクトはTechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルに出場した。2016年11月からchatbook.aiのベータ版の提供を開始し、2017年6月に正式ローンチする予定だという。
Facebookは今では10億人以上が使うFacebook Messengerを擁し、昨年のF8でチャットボットプラットフォームを発表した。今年のF8でも新たにMessenger向けグループボットを発表するという話だ。今のところ、チャットボットが本当に実用的なものかどうか疑問もある。しかし、Facebookはチャットボットの開発にリソースを投じ続けるなら、それも将来的には変わるのかもしれない。
「FbStartはプログラマーに優しいプログラムです。世界中からFbStartに参加している何千ものスタートアップやFacebookの担当者と直接関われます」と小島氏は話し、主に開発面での支援に期待しているという。