テック企業よ、今こそ黒人の命が本当に重要だと示すときだ

編集部注:本稿を執筆したCatherine Bracy(キャサリン・ブレイシー)氏はTechEquity Collaborativeの共同創業者だ。

不当な黒人の殺害に対する抗議運動を受け、テック企業は人種的差別撤廃を求める団体に対し数千万ドルの支援を公約している。

こうした公約は、抗議運動の道徳的な重さを示す強力なメッセージとなり、このような団体が変化を推進する上で重要な支えとなるのは間違いない。ただ、テクノロジー業界をより公平な場所にするために自分のキャリアをささげている、バイレイシャルの黒人女性として、私はこうした公約の真意はどこにあるのかと皮肉な目で見てしまう。

4年前にTechEquity(テックエクイティ)を創設したとき、支援活動を通じてテックコミュニティに関与し、制度化された不平等を解決することを目指した。テクノロジー業界ではさまざまな機会が与えられるというより、不平等が促されていた部分があるのだ。テック業界で働く技術者たちがそれぞれの特権を使ってその目標を推進するという点では、想像を上回る成功を収めてきた。たとえば去年、彼らは自らの市民としての力を用いて、アメリカにおけるテナント保護を最大限拡張する法案を通すことができたのだ

だが、テック企業にさらに力を入れるよう説得することは容易ではない。ほとんどが傍観者にとどまることを選んだのだ。そうした例をいくつか挙げてみよう。

固定資産税の改正

TechEquity(テックエクイティ)では2年以上、法人が固定資産税の支払いを免れるカリフォルニア州税法の大きな抜け穴を失くすために連携してきた。この抜け穴によって、カリフォルニア州の学校制度と地方自治体は、過去40年間に渡って多額の資金不足に悩まされ、結果として公教育の質や社会事業が急激に落ち込み、黒人や有色人種のコミュニティが過度の影響を受けているのだ。また古くから存在している企業に税務上のメリットが与えられることで、テクノロジー業界などにおける先進的な新企業は不利な立場に置かれてしまっている。

この抜け穴をふさぐための住民投票を支持することは、テクノロジー業界にとっては非常に簡単なことに思えた。私はこれがなぜテクノロジー業界に関わる問題であるのか、その理由を明確にした論説まで書いた。だが現時点で支持を表明したテック企業は、Postmates(ポストメイツ)だけでなのである。

住居におけるうわべだけの約束

昨年、Google(グーグル)、 Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)は、合わせて45憶ドル(約4817憶円)をベイエリアの住居問題の解決に充てると大々的に発表した。細則を読むと、寄付のほとんどは、住宅建設区域に分類されていない土地であることが分かった。カリフォルニア州の住居について少し見識がある人なら、市街化調整区域法を変更することはもちろん、その法律で認められた土地に住居を建てることがどんなに大変かは知っている。都市計画法を変更する政治戦略に補完的な投資をしないのであれば、この多額の寄付のほとんどは実質的に意味がない。

しかし、自宅を追われ路上生活を強いられる人は後を絶たず、とりわけ黒人社会にその傾向が偏っている中、こうした企業は、住居問題を実際に解決するために必要な政治活動や権限の確立活動への投資には消極的だ。45憶ドル(約4817憶円)もの大金を必要としないというのに。Stripe(ストライプ)は、住居建設を支援する団体California YIMBY(カリフォルニアYIMBY)に100万ドル(約1億700万円)を寄付したが、これが住宅政策支援活動における唯一の財源となっているのだ。

ホームレス向けの住宅とサービスに対する継続可能な財政支援

2018年、サンフランシスコの有権者は、ホームレス向けのサービスと低価格の住宅のために、市内に拠点を置く高収益の企業の税金を上げる政策を承認した。先ほど話した固定資産税の抜け穴を作り出したものと同じ、難解な法律のため、裁判が結審するまで、市は収集したお金が使えない。これは最大で7年間かかる可能性がある。

その間、悪化し続けるホームレスの問題を解決するために、すでに支払済みの税金を市が使えるよう企業が許可を与えられるようになっている。Salesforce(セールスフォース)とPostmates(ポストメイツ)の2社は、市がその資金を活用できるように許可を与えているが、他の多くは後に続くことを選んでいない。

これらはいくつかの例に過ぎない。私はテック企業における慢性的な多様性の欠如や、この件について業界が本腰を入れて解決する気がない点についてはまだ触れてもいない。

提唱者が、不平等の問題において目立った変化を起こすことをテック企業に提案しても、大抵の場合は参加を拒否されてしまう。企業は政治に関与するのは適切でないためという理由で。ネガティブな注目を集めてしまうかもしれないことを恐れているのだ。企業はそのスタンスに異を唱える政策立案者や有権者を敵に回したくはないのである。関与しないことは簡単だ。

だが、黙っているのは共謀していることになる。私がこの5年間で学んだのは、テック企業が行うほとんどすべては、否が応でも政治がらみであるということだ。現実を直視し、その力を使って本当の人種的平等や経済的平等を支援するときだと思う。

テック企業はこんなことをしてみてはどうだろうか:

その地位を利用して衡平法を支援する

私たちは、平等を実現するための政策に対する支援を、テック業界で働く技術者たちが行動で示すことがどんなにパワフルなものかを目の当たりにした。テック企業は、十分な資金のないコミュニティの経済的弾力性を改善する法律への支持を公言し、それが可決されるかどうかに影響を及ぼすことができる。

支援活動の資金援助をする

変化の推進に尽力する組織の多くは、資金調達における制限によって支援活動を行うのが困難なため、思うように活動できていない。その点テック企業には、他の多くの制度化した慈善団体とは違って支援活動の金銭的支援を縛る法規制がない。テック企業は、金銭的支援を受ける者が、政策による権利擁護を通じて構造変革を進めるためにお金を使うようにできるし、またそうすべきだ。

重役レベルにおける多様性に重点を当ててみよう。テック企業を代表して意思決定を行う者は、重役室にいるわけだが、圧倒的に白人が多い。重役レベルに多様なバックグラウンドを持つ人を入れることで、さまざまな見方ができるようになり、平等問題でより有意義な取り組みが行えるようになる。また政治的な姿勢を取る企業の前提条件として、重役のバイイン(送り込み)があることが分かっている。

重役チームに多様性があれば、こうした問題について企業として取るべき態度を明確にできるようになるだろう。人種的平等に投資するためテック企業ができることについてはっきりさせるときがきている。そして企業がこれを行わない場合には、釈明の義務を持たせるときが来ているのである。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:差別 コラム

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(翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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