デベロッパ教育に心と金を使う企業が安定と成功を勝ち取る

[筆者: Gregg Pollack]

編集者注記: Gregg PollackはCode SchoolのCEOでファウンダ。ここはデベロッパやその志望者たちが、楽しいコンテンツを使ってプログラミングを学べる。

ソフトウェアのデベロッパたちに、技能向上のために何をやってるかと聞くと、いろんな答が返ってくる。副業や趣味のプロジェクトをやる、Hacker Newsを読む、ポッドキャストを聴く、オンラインのコースやチュートリアルで勉強する、などなど。これらのどれか複数のこともあるが、いずれも勤務時間外に行われている。

でも、その中にめったにないのは: 雇用主が積極的に何かをやっている、というケース。

でも、それはおかしいのではないか。多くのテク企業やスタートアップが、彼らが抱える人材たちに、人も羨むような高額な給与やボーナスを投じていながら、彼らの仕事にとっていちばん重要なことをやっていない。それは、継続的な学習、だ。この重要な問題を、ちょっと掘り下げてみよう。

プログラミングはふつうの職務ではない

世の中のほとんどの仕事は、かなりスタティックな知識を必要とする。しかしソフトウェア開発は違う。技術はたえず進化しているが、つねに最良の技術を彼らに駆使してもらいたいのなら、デベロッパもそれに合わせて進化しなければならない。多くの意味で、彼らの仕事はコードを書くだけでなく、勉強も仕事の重要な一部なのだ。

たとえば、新しい言語やフレームワークの出現が、この世界では珍しいことではない。AppleのSwiftは、その好例のひとつだ。デベロッパが使う言語も、近い将来変わるかもしれない。

ここで自分を振り返ると、大学ではC++、仕事でPerlを学び、もっと良い仕事に就きたくてJavaを独学し、自分のコンサルタント会社を立ち上げるためにRuby on Railsを独学した。新しい技術や言語を学ぶことによって、デベロッパとしてより優位に立ち、仕事の変遷に成功してきた。自分で勉強しようとしなかったら、今の自分はないだろう。

デベロッパ全員が、このような自発的な学習意欲を持っているだろうか? 残念ながら、それはないと思う。しかしそんなデベロッパが、新しい技術について行けなくなったら、どうなるか? そういう人たちが作るプロダクトと、彼らがいる企業が、最後には失敗するだろう。メンテナンスしづらいコードや、実行時間の長いコード、ほかのデベロッパが敬遠するような古い言語やフレームワークで書かれたコード、そんなコードだらけになる。それは、どんな企業にとってもおそろしい事態だが、でもちょっと努力すれば防げる事態でもある。

企業が支援するデベロッパ教育とは

企業が行う社員教育のためのソリューションは、実装が容易で費用もあまりかからないものが多い。しかもその費用は、その後得られる生産性アップや社員の幸福感で十分にまかなえる。

まず最初にやるべきことは、いちばんやさしいこと。仕事のための勉強を積極的に認めるのだ。勉強もしろよ、と何度も何度も言う。これまで、(上司や同僚に知られず!)チュートリアルをやったりHacker Newsを読むことに伴いがちだった“隠れてこそこそ”感が一掃され、むしろ毎日、正々堂々とした気持ちで勉強に取り組める。現社員や新社員が積極的に勉強に取り組めるためには、勉強に関する日頃からの社内コミュニケーションが重要なのだ。

もうひとつの完全に無料のソリューションは、ペアプログラミングを奨励すること。これはバグが減りコードの質が向上するだけでなく、ほかのデベロッパのやり方をその場で見ることが、すごく勉強になるのだ。

会社によっては、社員教育を定常化して、チームの構成員の知識や技能に高低差が生じないように努めているところもある。チーム内に知識のギャップがあると、生産性とモラールに(ネガティブに)ひびくから、社内教育を正規の社内事業にすることによって、トラブルを未然に防止しよう。

わが社Code Schoolには毎月、“改善日(Betterment)”という日が一日だけある。その日は、その名のとおり、何かの改善改良に役立つことだけをするのだ。専門の講師を招いてタイピングのレッスンをする、とか、読書会をする、オープンソースの小さなプロジェクトに取り組む、新しい言語やフレームワークをちょっとかじる、などなど、何でもいい。この一日があることによって、うちの社員たちの創造性とモラールは、信じがたいほどすごく盛り上がる。

地元や遠い都市で行われる講習会やカンファレンスに、毎年一回社費で行かせるのもよい。本や研究会やオンラインコースの費用を、会社が持つのもよい。会社が、社員福祉と称してNetflixの会費を負担したり、休憩室や休憩コーナーにテーブルフットボールがあることなどより、こっちの方がよほど喜ばれる。ありきたりの、眠い社員福祉は、もらう側もかったるい。

以上は、ごくわずかなアイデアにすぎない。会社ごとに、その会社の状況やニーズにいちばん合ったやり方があるはずだ。社員のやる気が向上する学習〜教育事業を見つけよう。

イノベーションはコンスタントに勉強するチームから生まれる

勉強を奨励する仕事環境には、すばらしい副産物がある。それは、モアベターなプロダクトと企業の安定長寿だ。いつでも、その仕事のためのベストのツールを使う姿勢が、企業文化として定着する。マンネリで、自分たちが使い慣れているツールをいつも使うのではなく。

難しい問題にクリエイティブなソリューションを見つけることができるための、装備のある企業が成功する企業だ。成功のために必要な装備の中でも、いつでも勉強をコンスタントにやっているチームこそが、会社を競争で優位に立たせ、社員を学習者ではなく単なる労働者と位置づけている他社を、ずーっと後方に置き去りにすることができるのだ。

デベロッパは全員が、つねに学習者と労働者の両方でなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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