各国の政府がインターネット上の一般市民のデータや通信内容をたえず盗視していることをEdward Snowdenがばらして以来、デジタルの世界は心配症や不安症に支配されている。では自分のデータを完全に自分で管理できるためには、何をどうやるべきか? これまでさまざまなソリューションが提案されているが、今日ご紹介する’Wedgは、ユーザが自分でホストするストレージとメールのためのデバイスだ。クラウドストレージとのシンクや共有もでき、メディアのストリーミングやWebサイト/Webアプリケーションのホスティングもできる。これはいわばユーザが自分の家(うち)に置くパーソナルサーバないしパーソナルクラウドで、ファイルに自分の携帯からアクセスすることもできる。
Wedgを作っているイギリスのスタートアップは今、Indiegogoで資金を募集している。実はクラウドファンディングはこれが二度目で、最初は失敗した。そのときのフィードバックに基づいて今回の新型機はより高速なEthernetとUSBをサポートしている。また機種は、元からのARM機と、Atomチップセットを使ったWedg Proの二種類がある。
自分で管理運営できるパーソナルサーバの方がセキュリティもプライバシー保護も完璧、と言えるためには、そう、セキュリティの設定が完璧でなければならない。WedgはAESとXTS-AESにより512ビットの暗号化を行い、キー管理を内蔵、モバイルアプリは二要素認証を使用、ネット接続はSSL、共有コンテンツとキーはGPG/OpenPGPで管理する。ユーザの機密データはサンドボックス化されて隔離され、サードパーティのアプリケーションや外部デバイスからアクセスできないようにする。今のプロトタイプ期を終了して完成に達したら、プロジェクトの全体がオープンソース化される。
Wedgのメーカーは、今後外部のデベロッパが関心を持ってくれてWedg用のいろんなアプリケーションを開発することを期待している。CEOのShehbaz Afzalはこう述べる: “Wedgは総合サーバなので、発売の時点ですでに、ファイルサーバ、メールサーバ、メディアストリーミング(音楽、写真、ムービー)、Webサイトホスティングなどの機能がある。しかし今後デベロッパが自分の作ったアプリケーションでWedgの機能を拡張することも自由にできる”。
“たとえばフォトギャラリーやパスワードの集中管理、Bitcoinのワレットなどがあればいいね。目標額の倍の13万5000ポンドに達したら、Google DocsやOffice 365のような、リアルタイムでコラボレーションできるWebベースのオフィススイートの開発に着手したい”。
“インターネットの今の現状は、プライバシーがいろんなところから痴漢されているのに、ユーザ自身はそれをされていることすら分からない。しかも、ユーザが簡単に避難できる安全圏を、どこも提供していない。Wedgは、何もかも完全に揃った、優秀な安全圏でありたい。しかもそれは、ユーザ自身が完全に管理でき、ハードディスクのアップグレードも簡単、多様で安全なバックアップオプションもあり、初心者がすぐに利用を開始できるようにダイナミックDNSによるルーティングサービスも提供する”。
Wedgはもちろん、初めての、あるいは唯一の、パーソナルサーバデバイスではない。Afzalが挙げる強敵は、Sherlyboxだ。2月に本誌が取り上げたPixeomもある。自分のデータをどこかの馬の骨に預けたくはない、完全に自分で管理したい、という欲求の高まりとともに、このようなデバイスが徐々に伸びている。今後もまだまだ、あちこちこちから雨後の筍してくるだろう。
WedgのProバージョンはIndiegogoで219ポンド、1TBのストレージつきだ。ARM機は149ポンドだが、こちらもストレージは1TBだ。ストレージなし、という買い方でもよい。今現在は目標額の71000ポンドに対して59000ポンド集まっている。締め切りまであと58日だ。製品の一般発売は来年の3月を予定している。
〔訳注: 参考サイト(1)、(2)。〕
〔このようなハードウェア製品だけでなく、Linux用のセキュアな総合パーソナルサーバソフトも、きっとあると思う(ウデのある人は自分で構成してもよいが)。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))