ドルビーが超低遅延ストリーミングプラットフォームのMillicastを買収

Dolby Laboratories(ドルビーラボラトリーズ)は米国時間2月3日、超低遅延のビデオストリーミング体験を構築するWebRTCベースの開発者プラットフォームMillicast(ミリキャスト)を買収したと発表した。

2018年に設立されたMillicastは、世界中のコンテンツを放送品質で、1秒以下の遅延で配信できることを約束する。同社の顧客は、放送局、会議主催者、コンサート会場、オンラインギャンブル会社、オークションハウスなど多岐にわたり、いずれも高品質で低遅延のストリームを必要としているという。ユーザーは、ウェブベースのダッシュボードや人気の高いOBS Studio(OBSスタジオ)デスクトップアプリ、あるいはZoomを含むRTMP対応サービスでストリーミングを受信できる。

つまり、これはかなり企業向けの製品であるということに注目しておく価値はあるだろう。月額料金は495ドル(約5万7000円)からで、500GBのCDN帯域幅が含まれる。

ドルビーは一般にオーディオコーデックでよく知られているが、開発者向けエコシステムの構築にも力を入れており、他社のオーディオとビデオの専門知識が自社製品に統合できるように取り組んでいる。

2020年に、ドルビーはDolby.ioをいくつかのオーディオAPIとともに立ち上げた。現在では、オーディオマスタリングソリューションからトランスコーディングサービスやライブストリーミングツールまで、さまざまなものを構築するための幅広いAPIを開発者に提供している。当然のことながら、ドルビーはMillicastの買収を利用して、同社の低遅延放送機能を備えたライブストリーミング用製品の強化を計画している。

「ドルビーにとってこの買収は、開発者や企業の機会を拡大するためのものです。Millicastの超低遅延ストリーミングによって、Dolby.ioのすでに豊富な機能を補完することができます」と、ドルビーの広報担当者は筆者に語った。

画像クレジット:Millicast(スクリーンショット)

Millicastの現在の顧客は、ドルビーのプラットフォームで慣れ親しんだ同じ機能に引き続きアクセスすることができる。両社の顧客層はすでにかなり重なっているとのことだ。

「ドルビーとMillicastは、光のように速く、水晶のように澄んだコンテンツを、何千人もの参加者に向けてストリーミングできる未来を実現したいという情熱を共有しています」と、MillicastのAlexandrine Platonoff(アレクサンドリーヌ・プラトノフ)CEOは述べている。「私たちが協力することで、世界中のお客様に超低遅延を提供し、あたかもその場にいるかのような仮想化された大規模な視聴体験を実現することが可能になります。私たちはドルビーの一員になれたことに興奮し、一緒にどんなものが作れるかを楽しみにしています」。

両社は買収額を明らかにしていない。近年のMillicastの業績は非常に好調らしく、起業家で投資家のKeith Teare(キース・ティア)氏は先日、同社が2021年に収益を300%以上伸ばしたことを紹介していた

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。