現在ポンドの価値は過去50年間で最低の水準に達している(さらに下がる可能性もある)が、投資家の中にはこれをチャンスだと捉えている人もいる。
フィンテック界の起業家や投資家から構成されたチームが、本日Motive Partnersと名付けられたVCをローンチし、ロンドンとニューヨークにオフィスを開設した。ファンドの規模については明らかになっていないが、同社が今月はじめにアメリカ証券取引委員会(SEC:U.S. Securities and Exchange Commission)に密かに提出したForm Dには1500万ドルという金額が記載されていた。
しかもこの数字にはアメリカ分しか含まれていないため、イギリスにも本社を置く同社は、もっと大きな金額を調達している(もしくはしようとしている)可能性が高く、私たちもある情報源からそのような情報を入手している。
既に何百という数のVCが、フィンテックを専門に、または他の分野と併せてフィンテックスタートアップへの投資を行っている。そういった意味で、Motive Partnersは他社に遅れをとっているが、いくつかの理由を背景に同社はまだ勝機があると考えている。
まずは市場の大きさだ。Goldman Sachsの推測によれば、金融業界の年間売上のうち4兆7000億ドルが、フィンテック企業によって奪われる可能性がある。そこでMotive Partnersは、フィンテックスタートアップへ投資することで、4兆7000億ドルの市場を狙うことができると考えているのだ。
「私たちは金融サービスが今まさに変化の真っ只中にいると考えています。今後カスタマーエクスペリエンスの向上、テクノロジーを活用したシームレスなサービス、新しい業界基準、そして金融サービスへの”アクセスの民主化”が今後世界中で広がっていくでしょう。このような変化によって、専門家にとって素晴らしい投資のチャンスが、今後次々に生まれていくと考えています」とマネージング・パートナーのRob Heyvaertは声明の中で語った。
ふたつめは金融機関の幹部や投資家から構成されたMotive Partnersのチームだ。Heyvaert(FISのグローバルフィナンシャルソリューション部門の前コーポーレート・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、Capcoのファウンダー兼CEO、IBMの証券・金融市場担当ジェネラル・マネージャー、Cimad Consultantsのファウンダー兼CEO)に加え、Stephen C. Daffron(Interactive Data Corporationの前CEO、Morgan Stanleyのテクノロジー・オペレーション部門のグローバルヘッド、Renaissance TechnologiesのCOO)やMichael Hayford(FISの前CFO兼コーポーレート・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、Metavante Technologiesの社長兼COO)がファウンディングパートナーとして同社に参加している。
さらにAlastair Lukies(Monitiseのファウンダー、英首相のフィンテックアドバイザー)やAndy Stewart(BlackRock元社員)らが同社のパートナーを務める。
「ロンドンとニューヨークにいるスタッフは、フィンテックのエコシステムの最前線に立つべく、とてつもない努力を重ねています。両都市の著名な専門家のサポートとともに、私たちは社会と金融の関わり方に大きな変化をもたらす上で、有意義な役割を担っていくことに全力を尽くします」とLukiesは声明の中で語っている。
最初の投資案件に関する情報はまだ発表されていないが、昨夜Sky NewsがLMRKTSに対するMotive Partnersの投資(金額は不明)について報じた。TechCrunchでも、この噂が真実であるという確認がとれている。
LMRKTSは、自社のことを”多角的に多方面をカバーする”専門家集団と表現している。同社の業務内容についてはウェブサイトから確認できるが、要点をまとめると、LMRKTSは大手金融機関の重複した外貨為替取引をみつけだし、それを解消することで金融機関のコストを抑えるようなアルゴリズムを開発しているようだ。
前アメリカ合衆国財務長官のLarry SummersもLMRKTSに投資しており、彼は同社の取締役まで務めている。もちろん有名企業の出身者や元官僚を取締役にしたからといって企業が成功するとは限らないが、理論上はデューデリジェンスこそ、Motive Partnersの専門性が発揮される部分だ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)