ベンチャーキャピタルの民主化とは?

あるベンチャーキャピタリストが私にこう言った。テック企業のマーケティング資料に「民主化」という言葉を見つけたら危険信号だと思え。一般に、民主主義には皮肉な落とし穴がついてまわる。白人の男性が不均衡に利益を得る。ふだん私はこんなわびしい話で書き始めることはないのたが、これはテック起業家のLolita Taub(ロリータ・タウブ)氏とJosh Taub(ジョシュ・タウブ)氏夫妻が作った新しいツールが、真に革新的な何かを生み出す可能性があると私が考える理由だ。

タウブ夫妻は、GP-LP(ゼネラル・パートナー[GP]とリミテッドパートナー[LP])を立ち上げた。過小評価されているファンドマネージャーがファンドの立ち上げに必要な資金を手に入れるための マッチングツールだ。このマッチメーキングは、ファンドを立ち上げようとする人たち(GP!)と小切手を書く人たち(LP!)を結びつける役割を果たす。これは、彼らの作ったファウンダー、投資家のマッチングツールから1000回以上の出会いと27件の投資が生まれ、総額400万ドル近い金額が動いたことを受けて作られた仕組みだ。

そし、LPとGPをつなぐことは技術的にもコンセプト的にも比較的単純だ。そしてこれは比較的単純な実験でもある。しかし、5年前はもちろん10年前には決してあり得なかった。Zoom投資は人々が出会い、入念に検討する手段を大きく変えた。このGP-LPツールは、新たに生まれてくるファンドマネージャーが彼らの資金調達プロセスの幅を広げる上で鍵になる場所になると私は考える。

資金調達と言えば、

このツールが、過小評価されている人たちを手助けすることだけに特化している点は、他の多くのツールと異なる部分だ。伝統的シリコンバレーの型にはまらない、女性、LGBTQ+たち、非アイビー卒(あるいは非エリート企業出身者)、裕福でない人たちを対象としている。AngelList(エンジェルリスト)などのサービスが資金を動かしていることはすばらしいが、現在行われている公開の資金調達の恩恵に預かっているのは、そもそもそこに参加するためのネットワークを持っている人たちがほとんどだ。AngelListで資金獲得した人のリストがここにある。

つまりはこういうことだ。今、ファウンダーや投資家が自分たちのコミュニティを活用して小切手に結びつけるためのツールはたくさんある。しかし欠けているのは、コミュニティやネットワークを持たず過小評価されている人たちがチャンスを見つけるためのツールだ。新参のマネージャーが2回目3回目のファンドを立ち上げることに躊躇するLPはまだまだいるが、これは正しい方向への大きな一歩だ。そして今後どこまでうまくいくか、見守っていくつもりだ。

先週は、黒人その他の評価されることの少ないファウンダーにとって大きな1週間だった。

本稿の後半は、防災テック、Airbnb(エアービーアンドビー)、およびヘルスケア・コミュニケーションのS-1申請を取り上げる。私はいつでもTwitter(ツイッター)のここ@nmasc_.で見つけられる。

防災テックは転換点に来ている

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防災テック、例えばデータを使って山火事を消火したり、衝撃的な出来事の後、脳波を分析してPTSTを分析するスタートアップは、重要な時を迎えている。驚いただろうか。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や進行中の気候危機は、起業家たちに、文字どおりの災害と戦う先を見越したソリューションを開発するエネルギーを与えた。TechCrunchのDanny Crichton(ダニー・クライトン)が、4回にわたって状況を伝えている。

Airbnbの次の旅

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2020年3月以来、Airbnbに注目が集まっている。世界的に名の通っている旅行と短期宿泊サービスだ。ほぼ1年前に同社は、売上が減少し、従業員の約25%にあたる1900人弱を解雇したことを報告した。そして、デジタル・ノマド・ライフスタイルと長期旅行が復活した今、この会社には一読の価値のある成長ストーリーが生まれた。

要点はここだ:AirbnbのCEO Brian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏はTechCrunchのJordan Crook(ジョーダン・クルック)と、1日も早いポスト・パンデミックに備えて彼の会社がやっていることについて話した。Airbnbのスタンスが良い結果につながるかどうかはまだわからないが、パンデミックに打ちのめされ、その後復活した会社の共同ファウンダーの考えを知ることは、他のファウンダーが困難と戦う上でも参考になるだろう。

ブライアン・チェスキー:パンデミック中の旅行会社が、赤の他人が一緒に寝泊まりすることに基づく会社を立ち上げるより狂気の沙汰であることはわかっていませんでした。私は今、39歳から49歳になろうとしているように感じています。これまででいちばんクレイジーな一年であったことは間違いありません。

会社は当初、8週間で80%落ち込みました。私は車にたとえて話しています。時速80マイルで飛ばして、急ブレーキをかけ、何も悪いことが起きない、などということはありえません。今は、時速80マイルで走っていて、急ブレーキを踏んだあと、走りながらクルマを修理して、IPO目指して加速しているところを想像してみてください。全部Zoomの上で。

未来の生活が未来の仕事と融合するとき:

1週間の出来事

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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