Y Combinatorの今の‘学期’に参加しているNew Storyは、自然災害で住むところを失った人たちが家を建てるための資金募集活動をしている。その始まりはハイチで、協同ファウンダのBrett Haglerは、2010年のハイチ地震の被害者を助けるボランティアをしたとき、何千ものハイチ人がホームレスになっているのを見て、この非営利スタートアップを着想した。
Haglerはこう述べる: “家がないとどうなるか、何が起きるか、ということを、当時のぼくも含め、みんなはよく知らない。子どもがレイプされたり、誘拐されることもある。ぼくは、のちにNew StoryのパートナーになったMission of Hopeの救援事業に参加してハイチへ行き、災害で行き場を失った人をたくさん見た。なんとかしなくてはいけない、と強く思った”。
Haglerはその後2年間、社会事業のような性格もあるeコマーススタートアップHucksleyで仕事をしたが、その思いは脳裏を去らなかった。そのスタートアップは、ホームレスの問題には無関心だった。でも彼は、ハイチで支援した家のない家族たちのことを、忘れることができなかった。
Haglerは協同ファウンダとして、Alexandria LafciとMatthew Marshallを加えた。二人ともチャリティの経験があり、Haglerは彼らに助けられながら、自然災害の被害者たちが家を建てるための資金を集める、クラウドファンディングのサイトを作った。
New Storyのクラウドファンディングのやり方はKickstarterやIndiegogoと同じだが、製品や商品ではなく家を建てるためのお金を集める。一回に一家族を対象とし、6000ドル集まれば建設を開始できる。一軒建てるのに約45日かかり、出資者は、彼らが助けた家族が新しい家の前に立っている写真をもらう。
今はもっぱら、ハイチの地震被害者が対象だが、今後はネパールなどそのほかの地域にも広げる予定だ。ご存知のように、ネパールの地震はマグニチュード7.8で、死者8000名以上、負傷者や住む場所を失った人はもっと多い。
“今は緊急救援の段階だから、われわれの出番はない。ネパールは、もうすこしあとに行きたい”、とHaglerは語る。“彼らのために、10年から15年は保(も)つ家を作りたい”。
Haglerによると、家を建てるチャリティはリソースとパートナーシップが重要だ。そのためには、地域の人たちや見物人たちに好印象と信頼感を持ってもらえるよう、しっかりした仕事ぶりをつねに心がけないといけない、と彼は言う。
“ぼくは、NPO(ノンプロフィット)という言葉が嫌いだ。その言葉は、今New Storyがやってることを正しく伝えていない。ユーザに良質な体験を提供する、という意味では、まさにスタートアップだと思う”、とHaglerは言う。“ただし、利益は投資者へ行くのではなくて、家族へ行くんだ”。
YCがノンプロフィットも支援するようになったのは2013年からだが、New Storyもその一つだ。
New StoryはYC以外からも12万ドルを集め、ハイチの20家族に家を提供した。New Storyがもっと多くの家族を助けられるようにしたい、と願う人はここをクリックしよう。