ボールペンで紙に線を描くと電子回路が完成するCircuit Scribe, Kicistarterで資金募集中

あのすばらしいPCB用3DプリンタEx1の、次に登場したのがCircuit Scribeだ。このKickstarterプロジェクトは、電子回路のプロトタイプをブレッドボードもハンダ付けもなしで、簡単に作れるプロダクトだ。しかも、ものすごいローテクとローコストを意図的にねらっている。それは一見、ふつうのボールペンだが、使用するインクの原料が銀なので、ノートやメモ用紙などの上に回路を描ける。

その銀インクは、伝導性がある(50-100ミリオーム/S/m)だけでなく、水性で毒性がない。したがって子どもが学校で使うこともできる。このプロジェクトは、メーカーたちやライフハッカー、アーチストなどに加えて、子どもたちも市場としてねらっている。

作者はアメリカ人で、彼によると、このインクはほかのすべての伝導性インクよりも優れている。ボールペンタイプのCircuit Scribeにインクを入れて描くと、最初から最後までなめらかに線を描け、途中でペンを振ったり押したりする必要がない。またインクが乾くのをしばらく待ったり、生乾きの線をシャツの袖などで消してしまう心配もない。

Circuit Scribeはいくつかの既製のコンポーネント(部品)を提供しているので、それらを利用して回路を完成させることができる。LED基板、コイン(硬貨型)電池、9V電池のコネクタなどのほかに、ポテンショメータ(可変抵抗器)、RGB LED、感光素子など、やや高度なものもある。100ドルのデベロッパキットには、モーター、DIY用ソルダーボード、DPDTスイッチなどもあり、Circuit Scribeで作った回路をArduinoやRaspberry Piなどのボード製品と併用することも可能だ。

伝導性インクで描いた回路にコンポーネントをつなぐために、冷蔵庫のドアにメモを貼り付けるとき使うような、小さな磁気素材を利用している(下のビデオ参照)。

“とりあえずコインバッテリーとペーパークリップ(部品保持用)とLEDがあれば回路を作れるが、もっといろんな部品を使えば複雑な回路も作れる”、と同社はKickstarterのページの上で説明している。

未開封のペンは貯蔵寿命が約1年、開封したペンでスムーズに線を描けるのは半年あまりだ(キャップをしっかりかぶせたか、など、保存状態にもよる)。描ける線の長さは60から80メートル、線の伝導性は“数年”はもつ。

目標額は85000ドルだが、残り40日の時点で22000ドルあまりが集まっている。目標額に達したら、多くのコンポーネントを同梱したペンを2014年6月に発売できる予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。