数週間にわたるリーク情報と前宣伝を経て、Microsoft(マイクロソフト)は米国時間6月24日、デスクトップOSの次期バージョンである「Windows 11」を正式に発表した。同社はかつて「Windows 10」がWindowsの最後のバージョンであると述べ、年2回の定期的なアップグレードを行い大規模な製品のローンチは見送ってきたが、今回のアップデートでの変更点、特にUIの一新は、新しいバージョン番号に値すると明確に考えたようだ。
マイクロソフトは年末商戦までにWindows 11を一般ユーザーにリリースすることを計画しているため、発売は2021年11月下旬頃になると思われる。その前に、おそらく来週から多くのパブリックベータ版が公開されるだろう。Windows 11は既存のWindows 10ユーザーであれば、無料アップグレードとなる。
Windows 10Xの開発と最終的な廃止を見守ってきた方には、デュアルスクリーンおよび(ひいては)シングルスクリーンのノートPC向けにUIを簡素化したマイクロソフトのOSや、再設計されたスタートメニューに至るまで、ここで挙げるものの多くは見覚えがあるだろう。実際、Windows 11のスクリーンショットとWindows 10Xの初期プレビューを見せられたら、見分けるのは難しいのではないだろうか。
MicrosoftのチーフプロダクトオフィサーであるPanos Panay(パノス・パネイ)氏が24日の発表で述べたところによると、デザインの全体的なアイデアはユーザーに「驚くほどの静寂感」を感じさせることだそうだが、同時にWindowsチームは高速化にも取り組んできた。例えばWindowsアップデートは40%高速化されることになっているが、パネイ氏はマシンの起動やブラウジングさえもはるかに速く感じられるはずだと述べた。
ここでの驚きは、Windows上でAndroidアプリを実行できるようになったことだ。Androidアプリは、例えばタスクバーに組み込むことができるネイティブアプリのように動作するという。これらのアプリは、デザインを一新したMicrosoft Store上で、なんと……Amazonアプリストアを経由して提供される。いったい誰がこの展開を予想できただろうか?
タッチスクリーンユーザーのための新機能や、半透明の質感や影を多用した新しいUI要素の他に、新UIのコア機能の1つに、マイクロソフトが「Snap Layouts(スナップレイアウト)」と呼ぶものがある。これは、ウィンドウを最大化するアイコンにカーソルを合わせると小さなウィジェットがポップアップし、これまではウィンドウを画面の隅にドラッグして移動させていたものを(複数のディスプレイを使用している場合は大変なことが多かった)、テンプレートに合わせて任意のコーナーに簡単に配置できるようにする機能だ。
もう1つの大きな新機能は、Windows 11には最初からTeamsが統合されていることだ。MicrosoftがTeamsに関して強気であることは周知の事実だ。最近コンシューマー版のTeamsを発表したばかりの同社が、Windows 11にもTeamsを組み込むことは理に適っている。マイクロソフトがWindowsにSkypeを導入したことはなかったので、その点これはかなりの変化だが、基本的にTeamsはマイクロソフトのFacetimeになる。
Windows 11のリーク情報をご覧になった方は、ウェブウィジェットが目を引く新機能の1つであることをご存知だと思う。「Windowsウィジェットは、AIを搭載した新しくパーソナライズされたフィードで、厳選されたコンテンツを提供します」とパナイ氏は述べている。もちろんウィジェットは新しいものではないが、多くの点で、スタートメニューからライブタイルが削除されたことを補っている。また開発者にとっては、アプリケーションからの情報を表示するための新しいキャンバスとなる。
もちろん、マイクロソフトがゲームについて語らなければ、新しいWindowsとはいえない。同社は、Windows 11が「最高のPCゲーム体験を提供する」と主張しているが、それ以外に何か言えるわけもない。
マイクロソフトはXboxで先行導入されているAuto HDRにより、より優れたグラフィックを約束している。同社によると、Windows 11では何千ものゲームのビジュアルが自動的にAuto HDRで向上するとのこと。さらに、Windows 11の新しいストレージAPIのおかげで、CPUに負担をかけずにゲームアセットをすばやくロードできるようになるとしている(ただし、そのためには互換性のあるPCが必要)。また、マイクロソフトのGame PassサービスもXboxアプリとともにWindows 11に組み込まれている。
予想通り、Microsoft Storeもリニューアルされる。パナイ氏によると、Microsoft Storeはスピードを重視して一から作られたという(ユーザーの不満はスピードだったのだろうか)。同氏は、マイクロソフトは開発者がより多くのアプリをストアに投入できるように支援したいと主張している。マイクロソフトがApple(アップル)との違いを明らかに打ち出そうとしているエリアの1つは、開発者が自分のアプリケーションで独自のコマースエンジンを使用することを認め、マイクロソフトはそこから一切の利益を得ないという部分だ。
実際、マイクロソフトのSatya Nadella(サティア・ナデラ)CEOは、Windows 11上で開発者が独自プラットフォームを構築する機会を得て欲しいと語っている。「Windowsは、世界の創造の舞台です。この新しいバージョンのWindowsは、私たち1人ひとりに内在するイノベーションと創意工夫を解き放つものです。【略】今日、世界はよりオープンなプラットフォームを必要としています。つまり、アプリがそれ独自のプラットフォームになり得る場所です。Windowsは、Webのように、Windowsよりもさらに大きなものが生まれることができるプラットフォームです。それが、当社がWindows 11で目指すところです」。
画像クレジット:Microsoft
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)