ここ数年の国内スタートアップシーンを牽引してきたメルカリが、本日6月19日に東証マザーズ市場に上場した。
2013年7月にリリースされたフリマアプリの「メルカリ」の累計ダウンロード数はすでに1億DLを突破。アプリ内の年間取引高を合計すると、その額は2900億円を超える。そして上場初日、株式市場はそのメルカリを1株あたり5300円と評価した。同価格で算出した時価総額は約7132億円で、マザーズ市場で首位の規模となる。
メルカリは同日、都内にて上場記者会見を開催。代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏、取締役社長兼COO小泉文明氏、米国メルカリCEOのジョン・ラーゲリン氏が今後の展望について語った。
会見のトップバッターとして登場した山田氏は、「これから、社会の公器としての責任に真摯に向き合っていく。メルカリは写真をとるだけでAIが価格を算出するサービスを開発するなど、テクノロジーに力を入れてきた。日本を代表するテックカンパニーと呼ばれるようになりたい」と語った。
「メルカリの強みは、高い成長力とユーザーのエンゲージメント。このサイズになっても年間流通額の成長率は50%。利用時間は5.3時間で、国内ではインスタグラムやFacebookアプリ以上のエンゲージメントだ」と話す山田氏。今後は人、テクノロジー、海外への投資に注力し、「国をまたいで取引ができる世界的なマーケットプレイス」を作っていきたいとメルカリの目標を語った。
日本の成長戦略について語るのは、社長として国内事業を率いる小泉氏だ。同氏は「メルカリの成長にとって重要なのは、ユーザー数の拡大と1人あたりの売上高を拡大すること。そのためにもテレビCMなどを通して40代や50代の認知・利用を向上したい。スポーツ用品など、さまざまなジャンルの商品の取り扱いを増やす必要がある」と、メルカリが現状抱える課題を踏まえて成長の道筋を示した。
もう1つ、小泉氏が会見で強調したのはメルペイを中心としたエコシステムの構築だ。メルペイは、メルカリグループの金融ビジネスの担い手として設立された新会社。まだサービスの詳細は不明ではあるものの、フリマアプリ内の売買で生まれたお金をウォレットに貯め、それをコンビニなどの外部施設やサービスで利用できるモバイル決済機能をつくり、メルカリ独自の経済圏を構築していくという。また、将来的にはユーザーの取引履歴、評価情報など信用情報を活用し、総合的な金融サービスを提供するとした。
米国メルカリを率いるラーゲリン氏は、「メルカリに入ってすぐ、アメリカでも日本と同じように高い回転率で商品が売買されていると感じた。ただ、規模も認知もまだまだ。シリコンバレーで戦っていくためにはチームをさらに強化する必要がある」とアメリカ市場の現状と注力ポイントについて語った。