Neumobは、モバイルのアプリやブラウザをスピードアップするAndroidアプリ(Android 4.0+、iOSも近く)で、そのためにVPNとアプリケーションデリバリネットワーク(参考)を利用する。同社は今日、Accel Partners、Shasta Ventures、Menlo Ventures、Plug and Play Venturesなど複数社から230万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。
Neumobが提供する機能のうち、画像などを圧縮してブラウザの動作を速くする、といった部分は、Opera Maxなどのサービスを使ったことのある人にはおなじみのものだ。しかしNeumobはそれだけでなく、時間と帯域の節約に力を入れている。
NeumobのCEO Jeff Kimの説明によると、そのマジックのタネはデバイスの上で動く同社のアプリと、同社のクラウドネットワークとの組み合わせにある。キャッシングはすでに各種のモバイルアプリ自身が盛大に行っているから、Instart Logicなどとは違ってNeumobは当面、フロントエンドの最適化には注力しない。その代わりにNeumobは、モバイルのWANアクセラレーションを使って動的API呼び出し(dynamic API calls)を行う(Riverbedがエンタプライズ向けにやってることに似ている)(参考)。KimによるとNeumobはさらに、UDPの亜種のような独自のプロトコルを使って、ラストマイルとミドルマイルのルーティングのスループットを最大化している。
新規のユーザは3Gbまでの加速を無料で得られるが、それ以上になるとアプリ内で料金を払うか、または友だちなどを新規ユーザとして紹介しなければならない。
こういうサービスに出会うと、だいたいいつも、眉に唾をつけたくなる。Google PlayのStoreには、スマホが速くなり電池が長持ちすると称する“ブースターアプリ”が氾濫している。でも、広告を見せること以外の何かをやってくれるアプリは、ごくわずかだ。しかしNeumobはどうやら、そのお仲間ではなさそうだ。
実際に数時間使ってみると、Neumobが、接続の速度を平均で約35%上げた、と報告した。たしかに、一部のアプリは動きがきびきびしている。でもNew York TimesやRedfin、Twitterなどは、Neumobを使っていると画像や新しいコンテンツのロードがおかしくなる。
同社の創業に加わった技術者たちはAkamaiやCisco、CDNetworksなどの出身で、いわばネットワーキング技術のベテラン、とくにCDNに強い連中だ。創業は2014年で、AndroidアプリがひそかにPlay Storeに出たのが先月だ。
サービスの中心はあくまでもアクセラレーション(速度アップ)だが、Neumobにはそのほかの機能もある。たとえばVPN機能を使って、圏外国の人たちがNetflixなどを楽しむこともできる。あるいは、中国や日本、ブラジル、ドイツなどに自分が今いるふりをすることもできる。
Neumobには、暗号化ツールもある。暗号化を使うと接続は遅くなるが、少なくともデータがNeumobのサーバに到着するまでは、盗聴などの心配がなくなる。
この種のサービスはどれもそうだが、Neumobはユーザの個人情報を集める。でも同社によると、顧客のプライバシーは重視するので、匿名化されて集積されたデータだけを保存する。個別の個人データは残さない。
“保存するユーザデータが少なければ少ないほど、ユーザのプライバシーを維持しやすくなる”、と同社は言う。“ユーザデータは、ユーザからの特別の同意がないかぎり、サービスの実行に必要な時間しか当社のサーバ上に存在しない”、というのだ。