ユーザーを騙すダーク・パターンを禁じる超党派法案を米議会に提出

テクノロジー企業が使う非常に不愉快なUIデザインの一つ、ダーク・パターンを禁止しようとする法案が米議会に超党派で提案された。ダーク・パターンは、ユーザーを知らず知らずのうちに望む方向に誘導しようとする悪質なデザインだ。多くの場合開発者はプライバシーの保護を無効化し、ユーザーの個人情報に自由にアクセスできるようにすることを狙っている。

Facebookの共同ファウンダーでCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏の議会証言1週年を記念して、Mark Warner(民主党、バージニア州選出)とDeb Fischer(共和党、ネブラスカ州選出)の両上院議員は Deceptive Experiences To Online Users Reduction(欺瞞的オンライン・ユーザー体験の防止)という法案を提出した。DETOUR(迂回路)という頭文字語にごろを合わせるためにはいささか幅広すぎる法案名になっているが、ともあれ狙いは「何千万というユーザーの自己決定を誤らせ、プライバシーを放棄させようとして故意に紛らわしいユーザーインターフェイスを用いることを防止する」ことにある。法案の全文は記事末に添付した。

法案が議会を通過するには非常に複雑な手続きを経なければならないので今後の展開は不明だが、 この問題を扱うのに最適な政府機関はなんといってもFTC(連邦通信委員会)だろう。FTCはダーク・パターンを禁じるガイドラインを制定し、違反者には制裁金を課すことができる。昨年、ノルウェーの消費者保護活動グループがこの問題について調査したレポートによれば、米国でプライバシー保護活動を行う8団体もFTCに対策を取るよう要求している。

法案はダーク・パターン以外にも、13歳未満の児童を「強迫的なオンライン利用」に誘導するようなデザインや明示的承諾なしにユーザーの行動を調査する実験を行うことも禁じている。法案に示されたガイドラインによれば、大規模なテクノロジー企業は社内にコンプライアンスに関するレビューを行う委員会を設けなければならない。Institutional Review BoardないしIRBとして知られるこの種の委員会は製薬会社や医療機関に設置されて人間に対する実験に関してきめて強力な監督権限を持っている。

以下は法案の全文。

【日本版】カット画像はダーク・パターンUIの典型を説明したもの。「オプトインする、オプトアウトしない、オプトインしないことはしない」とオプションが並んでいるが、どの選択肢を選んでもユーザーはオプトインさせられてしまう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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