リングリング・ブラザーズの新しいサーカスはテクノロジー満載のファミリー・ショーだった

リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス( Ringling Bros. and Barnum and Bailey Circus) という名前を聞いたたら皆さんは何と思うだろうか? 私がまず最初に思ったのは「え、まだあのサーカスは健在なの?」だった。2つ目は「動物の待遇が心配」だった。正直、こういう感想を抱くのは私だけではないと思う。

この伝統あるエンターテイメント企業は、150年の歴史で初めて全面的な改革を実行していた。つまり最新テクノロジーをフルに利用した未来志向のライブ・パフォーマンスに生まれ変わっていた。

現在サーカスを所有するFeld Entertainmentは「生まれ変わったショー」にTechCrunchチームを招待し、舞台裏もすっかり見せてくれた。

「アウト・オブ・ジス・ワールド」は、宇宙を舞台にすると同時に一環したストーリーを持つリングリング・ブラザーズとして最初のショーだという。宇宙をテーマとしたことで3Dプロジェクション・マッピングをフルに活用して、人間によるパフォーマンスと統合した舞台を構築することが可能となっている。過去のショーでは野暮ったい大がかりなセットが組まれていたが、チームは今や7台のプロジェクターを駆使することで観客に宇宙にいるようなイリュージョンをもたらすことに成功している。

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スポットライト・システムも最新のものだった。ハイテクでコントロールされた照明はそれぞれの出演者のコスチュームに最適化されている。スケートでアクロバティックなジャンプをし。、宙返りを決め、ステージの端から端まで疾走しても常にスポットライトは出演者を中心にとらえ続けていた。照明エンジニアのLorelie
Owensによれば「.それぞれの出演者はある種のビーコンの役割を果たすブラックボックスを身につけている」という。スポットライトはこの装置の発する信号を追って上下左右に動く。舞台裏の照明コンソールに登録された情報が照明の色彩や各種効果をリアルタイムで制御するという。「パフォーマーの着用している位置ビーコンと照明コンソール
が共同して適切な照明パターンを実現する」とOwensは説明してくれた。

Owensによればビーコンによるトラッキング・システムは最大で同時に72人の出演者に対応できるという。どれほど複雑かつ素早い動きをしてもそれぞれのパフォーマーの動きを追いながら点滅や色彩の変更などの効果を与えることが可能だ。

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リングリング・ブラザーズの「アウト・オブ・ジス・ワールド」は派手で楽しいファミリー向けのショーに仕上がっていた。いってみればシルク・ド・ソレイユディズニー・オン・アイスを足したような感じだ。事実、FeldはDisney Live! の巡業もプロデュースしているという。動物の待遇についていえば、ゾウは使われておらず、トラがちょっと登場するくらいだった。ウマ、イヌ、ヤギなどもともと人間と暮らしている見慣れた動物が芸の主役だった。Wikipediaにも説明があるが、こうした動物は施設から引き取られたものが多いそうだ。

ともあれ面白いショーだった。高いところでパフォーマンスが繰り広げられるのをスポットライトとプロジェクションが派手に盛り上げて、興奮させられるビジュアルを生み出していた。この新しいハイテク・ショーは「地上最大のショー」を首尾よくよみがえらせるだろうか? 今後に注目していきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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