全地球規模のパンデミックに対応してシャットダウンが国際的に広がり、エネルギー需要の崩壊で石油企業ですら苦難を経験している。そんな中で、世界でもっとも賢い金融企業を代表する投資家たちは、運輸交通の未来を担う充電に、小さな賭けをしようとしている。
高名な投資家ジョージ・ソロス(George Soros)氏の投資企業Soros Fund Managementが、Siemensとそのほかの多くの投資家たちとともに、ロサンゼルスの充電スタートアップAmply Powerに、1320万ドルという小額の投資を行なった。
Amplyの創業者で会長でCEOのVic Shao氏は、こう言う: 「まだ発展途上のわれわれの業界にソロス氏が入ってくるなんて、100万年に1度も考えたことがないよ」。
そして化石燃料のエネルギー価格が崩壊しても、Shao氏によると、Amplyの価値命題には依然として道理がある。
Shao氏は曰く、「エネルギーだけの単価なら、電気は化石燃料の半分だ。経済が回復すれば、ソーラーや風力もどんどん安くなるだろう。石油の掘削技術の最低費用は1バレルあたり今20ドルだが、そのあとの処理や蒸留にも金がかかる」。
Shao氏は、Green Chargeの元CEOで、そこはエネルギーの分散保存をする企業だが、世界最大の国際的エネルギーサプライヤーENGIEに買収された。
Amplyには競合他社が多く、電気自動車の車群に対する充電管理の市場はトップ争いも激しい。ElectriphiやEVConnnect、GreenLots、GreenFluxなどの企業が、同様のサービスでしのぎを削っている。
今回の資金の使途は、チームと顧客展開の拡大で市場競争に勝つことだ。現在Amplyが充電操作を管理している顧客は、East Contra Costa郡のTri Delta Transitと、ニューヨーク市のLogan Busの電気スクールバスの車隊デモンストレーションなどだ。
同社によると、Amplyは中国の電気バスメーカーBYDや、Hawaiian Electric Companyの子会社Pacific Currentなどの良きパートナーだそうだ。
Amplyは顧客企業に提供する充電インフラストラクチャのオーナーであり、車の台数等によらない固定料金を顧客に課金する。「車隊管理のためのハードやソフトを売るベンダーが多いけど、それらは結局顧客のリスクになる。それらのツールの実装と使用を自分でやるか、ベンダーがやるか、という話になってしまう」、とShao氏は言っている。
Shao氏によると、同社は、都市の基幹的なインフラである公共交通機関の顧客が多く、政府のファンドも使えるので、不景気でも経営は比較的安定している。
「売上がサブスクリプションベースで安定していることは、本当にありがたい。公共交通機関の利用者は減っているし、ルートも少なくなっているが、乗合バスや校区のバスはなくならない。顧客がやや減っているのは、民間企業の方だけだ」、とShao氏は言っている。
SiemensとSoros氏が加わった新たな資金調達には、この前のシードラウンドの投資家Congruent VenturesやPeopleFund、そしてObvious Venturesも参加した。
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