以前はMandiant社の報告書が、中国本土からの高度なハッキングの脅威を明るみに出し、中国の軍部と関係あり、と示唆した。そして今日(米国時間5/19)は、民間ではなく合衆国政府が、“61397部隊”に対する告発文を発表し、その中で、この集団の成員が“合衆国の6つの被害者のコンピュータへのハッキングを企て、中国の国有企業など被害者と競合する者の経済的利益となる情報を盗んだ”、と述べた。
この告発は、合衆国政府にとってタイミングが良くなかった。なぜなら、NSAが外国の顧客へのハードウェアの出荷を差し止めたり*、またましてや経済的かつ政治的な含意が明白な諜報行為を行ったことで非難されている最中のことだからだ(後者に関しては、Glenn Greenwaldによると、商務省がNSAの”顧客“だった)。〔*: 差し止め押収した機器に諜報機能を加工してから返却し、外国の顧客への輸出をさせた。〕
この、盗人(ぬすっと)が盗人(ぬすっと)を告発するような文の中にはしかし、おもしろい申し立てがいくつかある:
SolarWorldが原価割れの価格で輸出を行う中国の競合企業に急速にマーケットシェアを奪われつつあったまさにそのころ、これらのハッカーたちはSolarWorldのコンピュータから原価や値付けなどの戦略的情報を盗んでいた。
そしてWestinghouseが原子力プラントの建設について中国の国有企業と交渉しているとき、ハッカーたちは、それらのプラントの各部位の設計に関する企業秘密を盗んだ。
DOJ(国防総省)はこれらの行為を“犯罪”と呼んでいる。それは正しいが、今や悪者扱いされることも多くなったNSAの情報遺漏者Edward SnowdenはNSAが“産業スパイ行為”を行っているとずばり断言しているし、最近公表されたスライドの48ページは、PRISMがある一週間のあいだにメキシコの“エネルギー”やイスラエルの“貿易”、ベネズエラの“石油”などに関わる情報を収集したことを暴露している。これらのことを勘案すると、中国人ハッカーに対する“犯罪”呼ばわりもあまりすっきりとしない。
中国政府はこれらの申し立てを否定しているが、それにはAlcoaや合衆国鉄鋼労働者組合の名も登場している。
いずれにせよ、民間や公共のコンピュータに対する経済情報を目的とするハッキング行為が政府によって行われていることは、世界の市場に歪(ひずみ)をもたらすものであり、定常的に行われているサイバー戦争が今後小休止したとしても、それはかえって、われわれの不安をかきたてるものになるだろう。
司法省は、“我が国の知的所有権を盗んだ者が誰であれ、どこに居住する者であれ、追及していく”、と約束している。
画像: FLICKR/Matt Churchill; CC BY 2.0のライセンスによる(画像はトリミングした)
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))