テクノロジの世界には、Mark ZuckerbergやEvan Spiegelをはじめとして、若い起業家がありふれている。でも、ここまで若くはない。
カリフォルニア州Torranceの四人の中学生(上図)が、夏休みを利用して、Flappy Birdからヒントを得たBankItというシンプルなゲームを作った。親たちは、ただゲームを作るだけじゃなくて、アプリの設計やデザインにはじまり、その開発、そしてマーケティングという、スタートアップの全過程を経験してほしい、と望んだ。
そこで四人はまず、それぞれの役割を決め、彼らのイニシャルを取ったSKYS Studiosという名前の会社を作った。Seia Watanbe14歳がアプリのデザイナー、Yua Watanabe12歳がプロダクトマネージャ、Kai Mackenzie11歳がプログラマ、そしてSho Mackenzie13歳がマーケティングプランを指揮し、勇敢にも本誌TechCrunchにメールした。
BankItはAppleとGoogleのアプリストアでダウンロードできるが、そんなに難しくないゲームだ。画面に現れるボールを上へスワイプして上辺に当て、それが下辺のゴールに入れば得点になる。バスケの、いわゆるバンクショットをやるので、BankItという名前になっている。これまでの最高得点が記録されるが、自分自身のそれに挑戦するだけでも、けっこう、はまってしまう。
でもSKYS Studiosのキモは、ゲームそのものではない。子どもたちの心に、テクノロジの世界への関心を芽生えさせたことが重要だ。
最近は、あそこもここもと、ダイバーシティレポート(diversity report)*を発表することがテク界隈で流行っている。女性やマイノリティの人たちにもっとコンピュータ科学を勉強してもらって、テクノロジの世界に就職してもらわんと困る、というわけだ。Girls Who Codeなどの、女性や子どもたちのためのプログラミング教育サービスの役割も、きわめて重要だ。でもテクノロジの世界の仕事はプログラミングを書くだけでは終わらないから、SKYSのような総合的な取り組みを、軽く見て忘れ去るべきではない。〔*: diversity report, 多様性報告書、社員構成の性的人種的多様性を示す報告書。日本の主要企業・銀行などのダイバーシティレポートもネット上で公開されている。〕
Mackenzie兄弟の父親Harold Mackenzieが、本誌宛てのメールでこう言っている: “このスタートアップ体験で子どもたちに言ったのは、失敗してもいいから、何か自分たちが誇れるものを作ること、その一部始終を自分で経験することに、すごい価値がある、ということだ。みんなが、私の言うことをわかってくれたのが、とても嬉しい。しかも、失敗どころかアプリが実際にAppleやGoogleのストアにまで行ったんだからね”。
ぼくはSKYSの若き起業家たちにインタビューすることができたが、みんな、ちょっぴりシャイな子たちだ。でもぼくがSkypeする数秒前にはHarold Mackenzieが、今連中は互いに物を投げ合って遊んでいる、と言っていたのだ。
未来のシリコンバレーのスポークスマンSho Mackenzieは、このプロジェクトでいちばんおもしろかったのは、設定をいろいろ変えてテストをしたとき、と言った。ボールの数とか、いろんなパラメータの値を、変えてテストを行ったのだ。
アプリは完成したけど、子どもたちの仕事はまだある。数週間後に始まる新学期のための、マーケティングの計画を作らなければならない。Instagramを利用してクラスメートたちにアプリの宣伝をするのだ。
SKYS Studiosの今後は? 四人とも、またアプリを作りたい!と興奮している。大人になったら何になりたいか、という質問への明確な答はなかった。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))