今週のまとめ ― iPadの売上成長率は鈍化し、タブレットは姿を消すのかどうか、あるいは懐かしのゲームグラフィックスなど

本稿では、先週の翻訳記事の中で注目の大きかったものや、さらなる動きが出てきそうな気になる記事などを紹介してみたい。まずはiPad(iPhone)関連のニュースを振り返ってみよう。

iPadの成長が鈍化?

電車の中でタブレットを使う人の姿を見かけることは多くなったが、どうやらタブレット市場にはある種の「逆風」が吹いているらしい。人気のiPadについても「iPad、初の年間出荷台数減少へ。タブレット市場全体の成長も鈍化(IDC調べ)」という記事が出ていた。

iPhone 6や6 Plusなど、画面が大型化する中でタブレットの存在意義が薄れていくのではないかという話もある。

たとえば、Pocketが行なったコンテンツ消費動向についての調査は面白い。「ビデオなどのコンテンツ閲覧はiPadからiPhone 6/6 Plusに大幅に移行という調査結果」という記事がそれで、iPadとiPhoneの双方を所有する人がPocketを利用する際にどちらのデバイスを使っているのかをまとめたものだ。確かにタブレットを必要とするシーンは減っているという結果にも読み取れる。

ただ、タブレットの必要性が消えていくという声ばかりでもない。たとえば「Windowsを無料にしたMicrosoftが定価100ドル未満の低価格タブレットで勝負」の記事では、タブレットとスマートフォンの買い替えサイクルの違いについて言及されている。そのような中、低価格タブレットが市場を活性化する可能性は十分あるとしている(そして高価格帯ではAppleが安住の地を見つけるという話だ)。

いずれにせよ、2015年初頭から、タブレットを巡ってはさらなる動きがありそうだ。それが小規模な生き残りへの抵抗に終わるのか、それとも新たな成長を目指すのか、観察していきたい。余談ながら筆者は電子新聞、電子雑誌、そして自炊本を眺めるのにタブレットが欠かせない生活を送っている。

Chrome向けNPAPIプラグイン停止やUIエディタが実装されたUnityなど

今週は開発者が大いに注目するニュースもあった。まず悲鳴も混じっていたようなのが「Google、いよいよ新年からChrome向けNPAPIプラグインを全面ブロックへ」の記事だ。

「見た目ほど影響は大きくなさそうだ」と記事にあるが、英文記事の方もかなりシェアされていて話題になっている様子だ。割合的には少なくとも、死活問題となる人も存在するのだろう。

と、こちらの方はどちらかと言えば「混乱」する話だった。もうひとつの「明るい話題」の方にも注目が集まっていた。記事は「朗報! ゲームのビジュアル開発環境、Unityに(ついに)UIエディタが追加」だ。

こちらには広く歓迎の声があがっている。ちなみにUnityのことはよく知らないという方は、日本語版の公式ページで概要を知ることができる。

ところで、完全に開発者向けというわけではないのだが「ゲーム・グラフィックスの歴史(1)―72年のPongから85年のスーパマリオまでをビデオで振り返る」を懐かしく眺めた技術者の人も多いのではなかろうか。

記事は「ゲーム・グラフィックスの歴史(1)―72年のPongから85年のスーパマリオまでをビデオで振り返る」だ。記事を読んでAsteroidsのスマートフォン版を探したり、あるいは「Bio_100%」を検索したりした人も多いのではなかろうか(参考までに、というか記事と直接の関係はないが、Super DepthにはAndroid版がある。「ろりろりろーりんぐはないのだろうか)。

さらに、「技術のソニー」発の新開発腕時計についての記事もあった。記事のタイトルは「Sonyの社内起業第一弾“eペーパーウォッチ”は社名を隠してクラウドファンディングに成功」だ。

eペーパーをテクノロジーとしてではなく、純粋に「素材」として捉えているのが面白い。おまけに、プロダクトについて、社名を隠してクラウドファンディングによる評価を求めたというのも興味深い。やりすぎは消費者の反感を招くこともあろうが、プロダクト評価を求めるひとつの方法として、確かにアリだ。意表をつくeペーパーの使い方がどのように広がっていくのか、注目しておきたい。

注目のクラウドファンディングと残念なクラウドファンディング

上の、ソニーデバイスもクラウドファンディングを利用したものだった。毎度ながら、他にもクラウドファンディングを利用した注目プロジェクトがあった。たとえば「スマートフォンの充電ができるXOO Belt。デザインは英国メジャーブランドのCasely-Hayford」だ。

これまでの「ウェアラブル」とは一線を画す存在だが、身に付けるのだからやはり「ウェアラブル」と呼ぶべきなのだろう。それにつけてもこうしたプロダクトとクラウドファンディングの親和性は相当に高いようだ。本プロジェクトも、かなりの日数を残して無事に目標を達成している。

ただし、クラウドファンディングが全能であるわけでもない。あまり目にしない「辞退」という結果にいたったプロジェクトもあった。個人的には面白く感じたのだが、残念な結果になったのは「iPhone(スマホ)本体に触らずにマルチタッチやジェスチャをサポートするFuffrの赤外線ケース」だ。

ビデオを見ると「これでAngry Birdsをクリアできるのではないか!」という、生産性のない盛り上がりを感じたりもする。タッチ操作をするために画面を指でさわり、それがために画面が見えなくなる不便を感じた人は多いはずだ。このキャンペーンはきっと成功するものだろうと思った人も多いに違いない。しかしこのプロジェクトは大失敗に終わった。最終的に「Funding Canceled ― Funding for this project was canceled by the project creator 3 days ago」とあるように、主催者からのキャンセル要請でプロジェクトは中止になったそうだ。意外に(?)冷静な出資者が多いことを示したと見ることもできる。

Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。