MITの理事長L.Rafael Reif(L・ラファエル・ライフ)氏の声明によると、今論争のさなかにあるM.I.T.Media Lab(MITメディアラボ)の所長である伊藤穰一氏が辞任した。このニュースを最初に報じたThe New York Timesは、伊藤氏が学長のMartin A. Schmidt(マーティン・A・シュミット)氏に送ったメールのコピーを入手した。
今や元所長になった伊藤氏のメールには「この件については何日も何週間も熟考してきましたが、今では、私が本学のメディアラボの所長職と教授職および職員を今ただちに辞任することが最良と考えています」と書かれていた。
上記ライフ氏の声明には、伊藤氏が本学の教授職を辞任したことも明言されている。
メールが言及している「この件」とは、伊藤氏のJeffrey Epstein(ジェフリー・エプスタイン)との関わりが報道されたことだ。未成年者を性的につけ狙ったとして逮捕されたこの富豪投資家は、収監から1カ月後の8月10日に拘置所で首つり自殺した。
この不名誉な億万長者と関係があるとされる著名人や有力な人物は何人もいたが、彼の逮捕後にはそれらの人々にも報道機関が注目。そしてその中に伊藤氏の名前もあった。それらの記事には、MITメディアラボと伊藤氏個人がエプスタインから資金を受け取ったとあり、それについて彼は8月15日の書簡で謝罪した。
しかしさらにその後、The New YorkerのRonan Farrow(ロマン・ファロー)氏の記事が、伊藤氏とエプスタインはもっと深い仲だった、とすっぱ抜いてから、嫌疑は一晩で濃くなった。ファロー氏が見つけたメールや文書によると、伊藤氏とメディアラボの開発部長であるPeter Cohen(ピーター・コーエン)氏の二人が協力して、MITの資金調達中央事務局からエプスタインの寄与貢献を隠し、それらを匿名の寄付にしたり、彼の名前を開示文書から消したりした。
伊藤氏は、これまでずっとエプスタインとの関係をめぐる事実は正しく報道されていない、と言い張っていた。Timesへのメールで同氏は、New Yorkerの記事は「事実に関する間違いが多い」と言っている。
MITの理事長であるライフ氏は本日の声明でFarrowの記事について「その記事に書かれている非難は極めて重大なので、緊急かつ徹底的な、そして独立の調査を要する。今朝私はMITの法務部に優秀な法律事務所と契約してこの調査の計画と実施をしてもらうように求めた。その検証作業は迅速に行われてほしいし、また、報告書が私とMITの統治機関であるExecutive Committee of the MIT Corporationに渡されることを望んでいる」とコメントしていた。
MITメディアラボは高名な研究機関であり、科学とテクノロジーとイノベーションに長年貢献してきた。Ito氏に代わる者の名は、まだ挙がっていない。
伊藤氏は、The New York Times Companyの取締役でもある。彼はこの取締役会で、監査委員を務めている。
以下は、伊藤氏が10年あまり前に書いた、資金調達に関する不朽の名言だ。
reminder to self: don’t invest with or take money from assholes
— Joi Ito (@Joi) March 12, 2008
自戒:馬鹿者どもからの投資話や金を受け入れてはならない。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)