今やソーシャルメディアと呼ばれる大きな混沌の中で西も東も分からなくなっている企業は、そこに価値あるコンテンツやデータを正しく見つけて、それらを視覚化する能力を必要としている。またそれと同時に企業自身も、キャンペーンを立ち上げ、そのデータをすべて集めて、CRMやマーケティングに利用していかなければならない。
それは企業自身の手には余る法外な要求だが、それらをサービスとして提供できるスタートアップも多くはない。Livefyre, Offerpop, それにSpredfast(Mass Relevance)などがこの分野の選手であり、そして最近まではWayinとEngageSciencesがそれぞれ、上記二つの機能の片方を単独で提供していた。しかし両社の合併(WayinがEngageSciencesを買収)により、今日(米国時間5/4)からそれが変わる。
買収の条件は公表されていないが、これに先立つ2015年9月には、Wayinが1540万ドルの資金を調達している。EngageSciencesはまだ外部資金を調達したことがなく、これまで‘家族や友だち’に資金を仰ぎ、またEIS Schemeや研究開発に対する税免除など、イギリス政府の補助制度をフルに活用してきた。同社の昨年の売上は650万ドルで、採算ラインにきわめて近かったという。
この買収が話題になるのは、2011年に創業したWayinは、協同ファウンダーがSun Microsystemsのかつての協同ファウンダーScott McNealyだからでもある。買収後のWayinのCEOにはEngageSciencesのCEO Richard Jonesが収まるため、McNealyはWayinのCEOの座を降りて常勤の取締役会長になる。
両社の結合によって、Wayinの、ソーシャルデータに対するリアルタイム検索および視覚化と、EngageSciencesのキャンペーンデリバリおよびファーストパーティーデータの収集がWayinブランドの下(もと)に一体化することになる。
Wayinの現在の顧客には、Denver Broncos, The Weather Channel, Walgreensなどがいる。
McNealyはこう語る: “Wayinには強力なリアルタイム能力があるが、EngageSciencesが加わったことによってマーケターに、消費者調査によるデータ収集や、製品に対するフィードバックやレビュー、そしてそのほかのキャンペーンによる顧客のさらなる理解が得られ、(マーケティング努力に)良好な結果をもたらす”。
EngageSciencesは2011年にロンドンでローンチし、今ではロンドンとオックスフォード、シドニー、ドバイ、ニューヨークにそれぞれオフィスがある。そして76か国に顧客があり、その中にはBauer Media, Microsoft, Vodafone, AOL, Discovery, Rogers Communicationsなどの名前もある。
Jonesは語る: “WayinとEngageSciencesが合体したことによって、この新興の業態におけるカテゴリーリーダーが誕生する”。
本社はコロラド州デンバーに置かれるが、トップは合衆国とイギリスの両方に置き、またアジアにおける既存のプレゼンスも維持する。