先週のUS注目記事 ― 外部サービスと連携して 「ひとりブレインストーム」も可能にするEvernote Context等

少々遅くなってしまった。本稿では先週のTechCrunch記事で、未翻訳ながらちょっと気になったものを簡単に紹介したい。

Androidスマートフォンの利用統計+「繋がらない時間」を生み出すOfftime

1日にどれくらいスマートフォンを使ったのか。一番長く使ったアプリケーションはどれか。そういった統計を出してくれるアプリケーションはいろいろと出ている。そこに「バランス」の観点を持ち込んだのが「Offtime」だ。

上の図のように、利用時間統計を出すアプリケーションはほかにもたくさんある。このOfftimeは「スマートフォンを使わない時間」を生み出す仕組みを備えているのだ。オリジナルの記事は「A New App Called Offtime Helps You Unplug Without Missing Out」だ。

たとえば上の図のように「Focused Work」(仕事中)とか「家族の時間」(Time for Family)といったプロフィールを作成し、それぞれのケースに応じて、スマートフォンの「利用制限」を行う。たとえば電話やメッセージ、アプリケーションからの通知などを選択的に「オフ」にできるのだ。

もちろん細かな例外設定も行うことができる。オフタイム中のアクティビティについては、情報をまとめた画面で表示させることができる。

ちなみにOfftimeは、ホワイトレーベル化して企業への販売も行うのだそうだ。従業員に「オフタイム」を作らせるのがトップの役割であるという発想のもとらしい。本アプリケーションはドイツ発なのだが、これはいかにもかの国らしい発想だと言えるのだろうか。

スマートウォッチからのプッシュ通知連発には耐えられるだろうか?

上の記事にも関係するが、スマートウォッチ上でのプッシュ通知の在り方を、もっと丁寧に考えたいとする動きもある。ある意味でスマートフォン以上に「身近」な存在となるスマートウォッチで、あまりにも頻繁な通知を送り続けるアプリケーションがあれば、利用者の不興をかうことになるだろう。

この問題に対処しようとするのは、現在もモバイルアプリケーションで適切にプッシュ通知を送るためのロジックを提供するKafunaだ。「Kahuna Plans To Avoid “Wrist Fatigue” With New Algorithm For Smartwatch App Notifications」という記事で紹介されている。

Sequoia Capitalも出資するKafunaは、これまでYahoo、QuizUp、1-800-Flowersなどにサービスを提供している。「mobile engagement engine」を標榜する同サービスは「最適なプッシュ通知」を実現するためのマーケティング/エンゲージメントツールを開発・提供していくそうだ。

各種デバイスの「スマート化」は、そもそも「いかに繋がるか」を意識したものだった。相互作用が多くなればなるほど、エンゲージメント効果が高まるという考えもあった。しかし繋がることが当たり前になってきた現在、「繋がらないこと」や「繋がり過ぎないこと」、あるいは「通知を減らすこと」が意識されているのは面白い。

インターフォン + ホームセキュリティのDoorbot

繋がりすぎることも問題になる時代ながら、セキュリティ関連ツールは、むしろ積極的に繋がることを目指している。紹介している記事は「Doorbot Becomes Ring, A Home Security Solution That Also Greets Your Visitors」だ。「ドアベル、ホームセキュリティ、遠来のお客を歓迎するためのDoorbot」といった感じだろうか。

簡単にいってしまえばネットワーク対応したカメラ付きインターフォンだ。遠隔地にいてもドアベルに対応することができるし、また訪問者の様子を見ることもできる。さらには検知する範囲を指定して、モーションセンサーを働かせて自動的にビデオを撮影しておくこともできる。

ベルを鳴らして不在を確認してから空き巣を働こうとする悪人や、あるいはいつも家の前で犬に粗相をさせる人の様子などを納めておくこともできる。

もちろんそうしたネガティブなシーンだけでなく、たとえば宅配便への対応や、留守中に訪れてくれた友人とも直接に話をすることができるわけだ。IoT含め、こうした分野ではますます「繋がった」サービスないしデバイスが登場してくるのだろう。

全世界のインターネット接続速度平均は4Mbpsを突破

もちろん「繋がり」を実現するのはネットワークインフラストラクチャーだ。Akamaiのレポートによれば、全世界での接続速度平均が4Mbpsを突破したのだそうだ(「Akamai: Broadband Speeds Tip 4 Mbps Globally; DDoS Attacks Down 15%」)。

1年前の調査では4Mbpsを超えるのは世界の半分の国でしかなかった。通信速度に関して言えば、この1年で40%も成長していることになる。

記事でとりあげているAkamaiレポートによれば、モバイルデバイスが普及してデータ通信量は大きく伸びているものの、音声データ量は頭打ちの傾向にあるとのこと。これは確かに、多くの人も実感するところかもしれない。

セキュリティ関連についてもレポートされている。セキュリティアタックのトラフィック発信元第一位は中国で、全攻撃的トラフィックの43%を占めているそうだ。アタック発信量が急増したインドネシアが第二位で15%、三位はアメリカで13%であるとのこと。

Evernote Context登場

「繋がる」ことによって、むしろセキュリティ問題が顕在化するという側面もある中、しかしやはり繋がることには、大きな便利さがある。その便利さを徹底的に活用しようとするのがEvernote Contextだ。10月2日付けで「Evernote Unveils Evernote Context, An AI Play That Surfaces Content From Outside Sources As You Write」という記事が公開されている。

Evernoteに登録したり、あるいは作成するコンテンツに関連する情報を、外部から探して表示してくれるというサービスだ。これまでもEvernoteでは、他のノートの情報を検索して「関連するノート」という情報が表示されていた。この仕組みを外部サービスにも展開するイメージだ。LinkedIn、CrunchBase、WSJ、あるいはTechCrunchなどの情報が表示されるようになるのだろう。

このサービスは「next month」にも開始予定なのだそうだ。

情報保管庫としてEvernoteを使っている人は多いだろうが、Contextの登場で使い方を再考したくなるかもしれない。自分の知識に限られないアウトラインプロセッサ的な使い方ができるようになるのかもしれないのだ。ひとりで何かを書くとという行為が、ネットワーク上でのインタラクティブな振る舞いとなるのかもしれない。サービスインを楽しみにしたいと思う。

「ポテトサラダ・イベント」、本当に開催

最後に「面白さ」を求めた繋がりの話を紹介しておきたい。以前、日本語訳で「データで振り返るKickstarterの“ポテトサラダ”プロジェクト(調達額は$55,492)」という記事を紹介した。

同プロジェクト主催者は、何万ドルもの金額を集めたので、それを使ってイベントを行いたいと言っていたのだった。

この幸せな人々の集いに冠せられたスローガンは、「PEACE. LOVE. POTATO SALAD」だった。

Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。