製品開発から試作、金型、量産の一貫生産を行うニットーは11月5日、同社いわく“世界初”となる医療向けウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」の全国へのレンタル事業を開始した。
archelisは長時間立ち姿勢で手術をしなければならない医師や助手の脚の疲労を軽減し「高いパフォーマンスを引き出す」装着器具。「腹腔鏡下手術は患者にとって身体的負担を大幅に下げる一方、医師ならびに医療スタッフは長時間の立ち姿勢で手術をしなければならず、腰や足への負担が増加している」といった課題を解決するために開発された。
archelisはフィット感が良く、かつ左右にセパレートした構造になっているため、装着したまま自由に歩くことができる。「歩く」と「座る」を繰り返し好きな場所で行うことが可能だ。装着するには足、スネ、モモの3点をベルトを止めるだけなのでとても簡単。スネとモモで体重を分散して支えることで体幹を安定させ、筋肉疲労を軽減する。パワードスーツとは違い電源を使用していないエクソスケルトンなので、他の医療機器への電波干渉の心配や充電の必要がないのも特徴だ。
共同開発パートナーで自治医科大学 メディカルシュミレーションセンター センター長の川平洋氏は「鉗子(かんし)の先端数ミリでの動作が求められる腹腔鏡下手術では『体幹の安定』が手術の安定性に大きく影響を及ぼします」とコメントした上で、archelisを使えば「術中の安定動作の向上が実現できる」と説明。「医療従事者が抱える特殊な環境での中腰姿勢をサポートできる器具として、可能性を感じています」(川平氏)
現時点でarchelisのレンタル対象は医療施設のみで、販売は行なっていない。レンタル料金にはいくつかのオプションがあるが、一年契約だと月額56000円(税抜き)だ。