調剤製薬の配達スタートアップ PillPackは、今回行ったシリーズCのグロースラウンドで5000万ドルを調達した。医薬品の小売店事業を開始し、RiteAidやWalgreensといった既存の薬局に取って代わる計画だ。
このスタートアップは2013年にローンチし、ユーザーのドアの前まで定期的に医薬品を届けるサービスを展開している。ユーザーは毎回薬局に足を運んで、医薬品を取りに行く必要がなくなる。PillPackは、保険会社と医師と組み、必要な医薬品をまとめ、独自のパッケージに封入する。個別のユーザーに合わせた処方薬やビタミン剤、その他のカウンター越しに受け取る医薬品を分類し、2週間ごとにユーザーが指定する配達先へと届ける。
PillPackはこれまでの2年間、堅実で順調なグロースを見せてきた。アメリカの48の州に渡りサービスを展開し、100万を超える医薬品のパッケージを送付した。彼らは配達分野でのサービスを展開しているが、今回新たに物理的な薬局をサービスの一環に加える。スタートアップとしては珍しい取り組みで、従来の小売販売を行うドラッグストアに対抗する。
しかし、医薬品の配達を行う潜在的な競合は多い。Healのような医者のオンデマンドサービスでも、医者の診療を受けた後に、必要な医薬品が自宅まで届けられる。忘れられているかもしれないが、タクシーを呼ぶサービスと類似したスタートアップのSidecarも近い内に、医薬品をユーザーの自宅まで届けるサービスを開始すると伝えている。医薬品関連のサービスで物理的な店舗の展開は、PillPackにとって他の競合にはないサービスの差別化につながるかもしれない。
CEOのTJ Parkerは、この新しいドラッグストアは、見逃されている既存の薬局での体験に更にプラスするものだと話す。彼の目標は、昔ながらの近所の気さくな薬剤師を取り戻し、「カスタマーにとって更に心地よい体験」を提供することだとTechCrunchの電話取材に応えた。
資金のほとんどは、物理的な薬局を大きな都市部に設置することと、今後の業務拡大を見据えて、セールス、エンジニア、オペレーションの拡充に使用する予定だ。設置する薬局には2つの役目がある。PillPackが自宅に送付するより早くユーザーが医薬品を手に入れられるようににすることと、知識豊富な薬剤師にいつでも相談することができるようにすることだ。
Parkerは具体的にどこに薬局を設置するかについては口を閉ざしたが、大きな都市であるサンフランシスコかニューヨーク辺りを検討しているそうだ。PillPackの初の薬局は今年の終わり頃までには出店し、運営を開始したいという。
Charles River Ventures (CRV)が今回のラウンドを牽引し、Accel Partners、Menlo Ventures、Atlas VentureとSherpa Venturesも参加した。PillPackは昨年、累計1275万ドルを調達している。今回の調達額を合わせると、累計で6275万ドルを調達したことになる。
PillPackの役員にCRVのGeorge ZacharyがAccel PartnersのFred Destin、Atlas VentureのJon KarlenとFounder CollectiveのDavid Frankelらに加わり、ディレクターを務めることになった。
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