金融ベンチャーのSTOCK POINTは11月20日、株価連動型ポイントサービス「STOCK POINT(以下、ストックポイント)」を12月20日に正式リリースすると発表した。また、同社はサイバーエージェントのポイントプラットフォーム「ドットマネー」との連携も併せて発表。ドットマネー上で交換ができるnanacoポイントやWAONポイントなどとSTOCK POINTを交換して運用できる「ポイント運用プログラム」を開始する。
ポイントを“運用”する
ストックポイントは、企業の株価に所持ポイント数が連動するポイントサービスだ。同社が12月に開始する「ポイント運用プログラム」では、サーバーエージェントの「ドットマネー」が取り扱う60種類以上のポイントを自分の好きな企業のストックポイントに交換することができる。
ストックポイントは企業の株価に連動して所持ポイント数が毎日変化する。株価が上がって所持ポイント数が増えれば、そのストックポイントを元のポイント(例えばnanacoポイント)に交換しなおして消費することも可能だ。
また、STOCK POINTはSBI証券とみずほ証券との連携も開始する。ストックポイントを貯めたり運用したりして所持ポイント数がその企業の1株あたりの株価まで達すれば、それを実際の株式に変換することも可能だ。
ストックポイントを株式に交換する需要に備えるため、同社はその株式を“在庫”として用意しておかなければならない。そのため、正式リリース時点で対応する銘柄数は5〜6社だという。ここは正直心もとない数字だけれど、STOCK POINTは資金力を高めるにつれて銘柄数を増やしていく予定だという。
この運用プログラムでは、STOCK POINTはポイント交換時に発生する手数料でマネタイズしていく。ドットマネーが扱う各種ポイントからストックポイントへの交換には5%、ストックポイントからドットマネーへの交換は2%だ。
来年3月からはロイヤリティプログラムも
ここまでで説明した「ポイント運用プログラム」に加えて、STOCK POINTは2018年3月から企業のファンを育てる「ロイヤリティプログラム」も開始する予定だ。
ロイヤリティプログラムとは、ある企業の製品を購入によってその企業のストックポイントがもらえるという仕組みだ。明治のチョコレートが好きだというユーザーは、毎日自分の好きなチョコレートを食べているだけでいつのまにか明治の株主になれる。そのうちに明治の企業経営にも興味を持つかもしれない。企業にとっては自分たちのファンを囲い込めるチャンスになる。
ただ、ロイヤリティプログラムも開始時点では対応企業は2〜3社になる予定ということで、少ない数字ではある。資金力を解決すれば対応企業が増やせる「ポイント運用プログラム」とは違い、個別に企業との連携が必要なロイヤリティプログラムの対応企業数をどこまで増やせるかが鍵となるだろう。
「貯蓄から投資へ」
日本政府は長年、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもとに様々な施策を打ってきた。2014年1月からスタートした「NISA(少額投資非課税制度)」もその1つだ。NISAは、毎年120万円の非課税投資枠が個人に与えられ、その範囲内の投資から生まれた配当や値上がり益に対する税金がゼロになるという魅力的な制度だ。
しかし、その「貯蓄から投資へ」という流れはなかなか進んでいないのが現状だとSTOCK POINT代表取締役の大越信幸氏は語る。
「10年前、全人口のうち投資を行っている人の割合は約18%だった。しかし、その割合はいまでもほとんど変わっていない。STOCK POINTのミッションは、ポイントという身近なものを利用することで誰もが簡単に投資に参加できる仕組みを提供することです」(大越氏)。
ポイントの状態で運用するだけであれば、STOCK POINTを運用するのに証券口座を開く必要はない。スマホがあれば誰でも“擬似株式”に触れることができる。その点から言えば、ストックポイントは子供や若い世代の金融教育にも適したサービスと言えるだろう。
貯蓄から投資への壁が、また少し低くなるかもしれない。