家を留守にする猫の飼い主が助け合うアプリ「nyatching」、猫の日にリリース

ペットを飼っていると困ってしまうのが、出張や旅行で自宅を何日間か留守にするとき。可愛いペットたちに餌をあげなくてはならないし、トイレシートも変えなければならない。散歩につれて行く必要もある。

でも、ペットシッターを雇えば1回あたり数千円の料金がかかるし、ペットホテルは環境の変化によるペットへの負担が心配だ。上京したての人などは特に、家を留守にする間にペットを預けられる友人や家族がいないこともしばしばだ。

本日サービスローンチを発表した「nyatching(ニャッチング)」は、そんなときに重宝できそうなサービス。その運営元であるnyans(ニャンズ)は2月22日、同サービスの事前登録の受付を開始すると発表した。

nyatchingは、猫の飼い主同士をつなげるマッチングサービスだ。ユーザーは自身と飼い猫のプロフィールを登録し、近所に住む飼い主仲間を検索する。気になる相手がいれば、Facebookの“友だち申請”にあたる「マーキングボタン」を押す。両方がマーキングすれば、マッチが成立してメッセージのやり取りをすることができる。実際に会ってみてお互いの信頼が築けたら、家を留守にしなければならないときなどに助け合うきっかけになる。

nyansは飼い主同士のマッチングアプリだが、考え方によってはペットシッター専門のクラウドソーシングと捉えることもできる。しかし、nyans代表取締役の谷口紗喜子氏は、飼い主が他のユーザーにペットの世話を頼むときに仲介手数料を頂くことはまったく考えていないと話す。「『お金をもらえるから』という理由で飼い主に使われるサービスを作りたくなかったからです」(谷口氏)。

その代わり、nyansはサービス運営で集めたデータを活用してマネタイズをする。谷口氏によれば、日本のペットフード業界は飽和状態であり、ペットフードを販売する各社は高付加価値のペットフード販売へと舵をとりつつあるという。高付加価値製品のマーケティングによく使われるのがサンプリング。nyansはここに目をつけた。

「ペットフード会社は、アルバイトを雇ってスーパーに配置するなどの方法でサンプルを提供しています。業界への聞き込みをした結果、ペットフード業界が潜在顧客に対して直接サンプルを提供する手段がないことが分かりました」(谷口氏)

先ほど述べた通り、nyatchingのユーザーは登録時に猫と自分自身のプロフィールを登録する。そこには、現在与えているペットフードは何か、どんな病院に通っているのか、飼い猫の種類と年齢などの情報が含まれる。これらは他のユーザーのペットの世話を引き受けるときに必要な情報でもあるから、ごく自然なかたちでnyatchingに集まるデータだ。

nyansはそれらのデータを利用して、将来的にnyatchingをペットフード会社向けのマーケティング・プラットフォームとして開放することでマネタイズを図る。それに加えて、同社は保険会社と共同で、ペットの世話を頼むときの“万が一”に備える短期保険の販売も行うという。

この将来の展望まで聞いてみると、「お金を稼ぐことが目的で使うサービスを作りたくなかった」という谷口氏の言葉に非常に納得がいった。サンプルマーケティングの場としてプラットフォームを開放するのであれば、そこには本当の猫好きが集まっている必要がある。お金を受け取れるから世話をしてあげる人ではなく、猫が好きだから世話をする人を集めることが重要になるのだ。

nyansは2017年11月の設立。同社のビジョンは「ペットの殺処分ゼロの世界」を目指すことだと谷口氏は話す。そのため、今後nyansは今回リリースしたnyatching以外にもさまざまなサービスをリリースしていくという。なお、彼らは現在シードラウンドでのファイナンスに向けて準備を進めている最中だ。

そうだ、最後に1つ。谷口氏を取材していたとき、ものの数分で彼女が“真の猫好き”なのだと分かった。谷口氏は福岡県に在住しているから今回の取材はビデオチャットだったのだけれど、彼女は猫の話をするとき、目を輝かせ画面に向かって身を乗り出すように話をする。なにより、サービスローンチは2月22日(ニャンニャンニャン)、猫の日だ。

自分が本当に好きなことをビジネスにすることの重要性は、いたるところで目にしたり、聞いたりする。でも、今回の取材で改めてそれを実感した。

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TechCrunch Japan

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